2023/03/04 21:15

 鹿児島市松元地区の畑で3日、枯れ草火災があり、鹿児島西警察署松元交番の戸木田哲朗巡査(23)が、炎の中に取り残された高齢女性を救助した。風が強く火の手が広がる中、杖(つえ)をついて逃げようとする女性を抱きかかえて命を救った。

 午後0時46分、畑で野焼きをしていたもう一人の女性が「枯れ草を燃やしていたら広がった。一緒に作業していた人が取り残されている」と110番した。消火用の水を用意していたが、火の回りは早く、通報から4分後、戸木田巡査と佐伯直人警部補(31)が現場に着いた時は煙が充満。炎は高さ約2メートルまで上がっていた。

 「まだ火の中に人がいます」。通報した女性が切迫した様子で戸木田巡査に訴えた。消防は到着しておらず、命が危ないと判断。佐伯警部補からの「風上の方から回り込めば間に合う。煙を吸い込まないよう息を止めて救助を」との指示で炎に飛び込んだ。通報から約30分後、消防隊が鎮火。約800平方メートルが焼けた。

 戸木田巡査は「助けなきゃという思いでとっさに体が動いた。佐伯警部補の指示で落ち着いて救助に向かえた。無事で本当に良かった」と振り返った。

 総務省消防庁の統計によると、2022年1~6月の県内の「枯れ草等火災」は106件で全体の約3割。春先は畑や庭での野焼きが増え、松元交番は3月の広報誌で「建物近くなど延焼しやすい場所は避けて消火用の水を必ず準備して」「道路が煙に覆われると交通事故の原因にもなる。燃やし方や燃やす物を間違えると大きな被害を生みかねない」と注意を呼びかけている。

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