0001蚤の市 ★ [AR]
2023/03/12(日) 07:38:43.60ID:EABRG8AU9チェコの先発マウンドに上がったのは、右腕のサトリア投手。母国での本職は「電気技師」の超軟投派右腕が、侍ジャパン打線を途中まで手玉にとった。
投球の軸は最速127キロの直球と110キロ台のチェンジアップ。日ごろ150キロ超の速球と相対する日本の打者は「遅球」と感じたはずだが、これがなかなか捉えられない。一回から2三振を奪い3人で片付けると、二回は1死満塁となったが中野拓夢選手(阪神)、甲斐拓也選手(ソフトバンク)を打ち取り、窮地を脱した。
ハイライトは三回1死二塁、大谷翔平選手(エンゼルス)との対戦だ。初球は外角への126キロで見逃しとすると、2球目は113キロのチェンジアップで空振り。さらに最後はボール球の116キロで体勢を完全に崩させて三振とした。
その後痛打を浴びて3回3失点での降板となったが、最速164キロを投じた日本の佐々木朗希投手(ロッテ)との球速差40キロ近い投げ合いは見応えがあった。
欧州予選を勝ち上がり初のWBC切符をつかんだチェコ。多くの選手は消防士や教師など別の本業で生計を立てながら、国内リーグでプレーしている。大会を主催する米大リーグ機構(MLB)が欧州市場に力を注いでいることもあり、チェコでも野球への関心は年々高まっている。
今大会初戦の10日の中国戦では、九回に逆転3ランが飛び出して劇的初勝利を挙げた。勢いに乗って挑む日本戦に向け、ハジム監督は「世界一の野球チームと対戦できる。最高の気持ち。東京ドームで、負けなしで、ベストの日本チームと対戦できるのは夢のようなおとぎ話」と意気込みを語り、こう誓っていた。
「全力を尽くして、世界に野球の素晴らしさを伝える」
その言葉通り、日本戦で見せたのは懸命なプレーの数々だった。三回には一、二塁間への鋭い打球を一塁手が飛びついて好捕。佐々木投手から速球の死球を受けたエスカラ選手は足を引きずりながら一塁に到達すると、痛みを振り払うように短距離ダッシュを繰り返し、満員の東京ドームから大歓声が送られた。
大差がついたが、試合終了後にはチェコの選手たちはベンチ前に出て、自国の応援団の歓声に応えるだけではなく、日本に向けて勝利をたたえる拍手を送った。
ハジム監督は「こんな満員のスタジアムでプレーすること、これ以上の喜びはない。ファンの温かい視線、励ましはとても素晴らしい。(チェコの)選手もそれを感じてプレーできたと思う」と感謝する。これからさらに力を伸ばしていくであろうチームのひたむきな姿勢や野球を心から愛する様子は、多くのファンを魅了した。【角田直哉】
毎日新聞 2023/3/12 04:30(最終更新 3/12 04:30) 1157文字
https://mainichi.jp/articles/20230312/k00/00m/050/010000c