自民党の議員グループ「日本の尊厳と国益を護る会」は14日、国会内で総会を開き、韓国政府が発表したいわゆる徴用工訴訟問題の解決策を巡り、政府に過大な評価を戒める提言をまとめた。慰安婦像の設置や韓国艦艇による自衛隊機へのレーダー照射など諸問題の解決を韓国側に求めている。岸田文雄首相と林芳正外相に近く提出する。

韓国政府は6日に韓国最高裁で敗訴した日本企業の賠償を韓国政府傘下の財団が支出する解決策を発表した。一方、先の大戦を巡る両国間の請求権問題は昭和40年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」と明記している。

護る会は提言で「解決策を過剰に評価することは、日韓請求権協定の内容をないがしろにしたかのような誤解を与えかねない。国際法違反の韓国最高裁判決を暗に認めることにもなる」と懸念し、「日本の姿勢は何も変わることはないとの立場を取り続けることが重要だ」とした。

政府が韓国を輸出管理で優遇する対象国に再指定し、対韓輸出管理の緩和を検討していることに関しては「労働者(徴用工)問題とは別個の問題だ。韓国の輸出管理制度が不十分で、安全保障上の懸念があるからだ」と反論した。

慰安婦像やレーダー照射に加え、韓国による竹島(島根県隠岐の島町)の不法占拠や日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄、旭日旗への中傷を挙げ、「韓国により適切に対処されることを求める。政治的状況により、なし崩し的に問題解決を装うべきではない」とも強調した。

会合後、代表を務める青山繁晴参院議員は記者団に、徴用工訴訟問題の解決策を受けた政府の姿勢について、「まるで全部が解決したかのような姿勢だ。怒濤(どとう)のように『何もかもよい』といわれても、納得できる国民的な合意ができているとは思えない」と語った。

産経新聞 2023/3/14 22:28
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