桜井林太郎2023年5月15日 12時00分

 男女間の不平等が大きい国ほど、脳の厚さの男女差が大きいことが、日本を含む世界の29カ国の共同研究でわかった。女性のメンタルヘルスの悪化などにつながっているおそれがあり、国際共同研究チームに加わった専門家は、具体的にどんな男女間の不平等が脳の発達に影響を与えているか、追跡調査が必要だと指摘している。

 京都大を含む研究チームが、世界29カ国の18~40歳の健康な男女7876人のMRIによる脳の構造画像と、男女間の不平等指標との関連を調べた。

 不平等の指標は、毎年報告されている世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数と国連開発計画(UNDP)のジェンダー不平等指数を組み合わせ、国ごとに計算した。

 分析の結果、男女間の不平等の大きい国ほど、右大脳半球の表面で神経細胞が集まっている皮質の厚さの男女差が大きく、男性に比べて女性は薄いという結果が出た。男女間の不平等がないと、大脳皮質の厚さに男女差は見られなかった。

 今回の不平等指標で29カ国中12位だった日本は、上位を占めた北欧諸国に比べると、皮質の厚さの男女差が大きかった。

 大脳皮質を68の領域にわけ…

https://www.asahi.com/articles/ASR5D5J9RR5CPLBJ00D.html