4月の東京都江東区長選で初当選した木村弥生区長が選挙期間中、動画投稿サイト「ユーチューブ」に区長選関連の有料インターネット広告を出していたことが分かった。公職選挙法では選挙期間中、選挙運動のために候補者名を表示させた有料のネット広告を出すことを禁じており、同法に抵触する恐れがある。(井上真典)
◆取材に対し区長「顧問弁護士と相談し回答」
 木村区長は10日、本紙の取材に「公職選挙法に関わる質問ですので、顧問弁護士と相談の上で回答させて頂きます」と文書でコメントした。
 有料広告を見た複数の有権者らによると、木村区長は選挙期間中に動画で「江東区長選は木村やよい」などと投票を呼びかけるような内容だったという。
 区選管の担当者は「選挙後に、有料広告の話は複数寄せられた。一般論として(ネットの有料広告で)投票依頼をしていれば違反だが、警察の判断に任せるしかない」としている。
 選挙運動にネットを利用する「ネット選挙」は2013年の公職選挙法改正で解禁され、政党や候補者がホームページや交流サイト(SNS)などで投票を呼びかけられるようになった。有料広告は、政党は例外で選挙運動用のホームページに直接リンクする形であれば認められているが、候補者が選挙運動で出すのは禁じられている。違反すれば「2年以下の禁錮または50万円以下の罰金」と定めている。
 禁止の理由を総務省の担当者は「認めると、有料広告の利用が過熱し、選挙費用が増加する。結果として、金のかかる選挙になる恐れがあるため」と説明する。
 選挙運動だった場合、選挙運動費用収支報告書に記載義務があるが、開示された木村区長の収支報告書には有料広告費の記載はなかった。
 江東区長選は、4月16日告示され、4人が立候補。23日に投票され、木村区長が初当選した。

東京新聞 2023年7月11日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/262229