中国の電気自動車(EV)メーカーが欧州市場に攻勢をかけている。中国に次ぐ世界2位のEV市場の欧州でブランドの浸透を図る狙いだ。中国はEVづくりに欠かせない電池や原材料も握っていることから、欧州では警戒感も高まっている。

 ドイツ北部ハンブルクのメルセデス・ベンツの販売店に中国のEV最大手BYDの車が並んでいた。この販売会社は周辺で20のベンツ販売店を展開。2022年12月からBYDの販売を始めた。

 「中国車が安いだけで品質はよくないと思われていたのは昔の話。EVの市場はこれまでと全く違う。BYDのEVは品質、価格ともによく、自信をもって顧客に購入を勧められる」と、販売会社のBYD販売部門の責任者ビクトル・ハフナーさん(32)は話す。

 EVの販売は月々の定額料金を払うリース契約の顧客が大半だ。BYDで最も人気の中型SUV「ATTO3」の利用料は一般的な契約で月約330ユーロ(約5万円)と、近い大きさのベンツのEVの半分以下。「高級ブランドに手が届かない客に広げたい」。販売会社では来年末までにBYDを扱う店舗をさらに四つ増やす予定だ。

「グローバルブランドになるための出発点」
 ハフナーさんによると、現在14店舗のドイツでの販売店を「28年末までに100店舗に広げる」との計画がBYDから示されているという。

 BYD以外でも新興メーカー…(以下有料版で,残り2952文字)

朝日新聞 2023年7月16日 7時00分
https://www.asahi.com/articles/ASR7G63XCR6XUHBI00H.html?iref=comtop_7_03