乳がんの一部は、診断される数十年前、患者が10代前後の時点で、がんのもとになる最初の遺伝子変異が起きていたとみられることが遺伝子解析でわかったと、京都大学などの研究グループが発表しました。乳がんの早期発見や治療につながる可能性があると注目されています。

京都大学大学院医学研究科の小川誠司教授などの研究グループは、特定の遺伝子変異が原因とされる乳がんの患者9人からがんの組織などを採取して遺伝子解析しました。

変異の数から変異が起きた時期を推定したところ、いずれも、がんと診断される数十年前、患者が10代前後の時点で、がんのもとになる最初の遺伝子変異が起きていたとみられることがわかったということです。

一方、こうした遺伝子の変異は出産を1回経験するたびに55個減る計算になったということで、研究グループでは、妊娠や出産によって乳腺の細胞が置き換わることが影響している可能性があるとしています。

今回解析した遺伝子変異が原因となる乳がんは全体のおよそ2割程度とされていて、研究グループでは残りの8割の乳がんについてもこの手法を応用して解析したいとしています。

小川教授は、「がんのもとになる最初の変異が起きてからがんになるまでの推移を初めて明らかにできた。今後乳がんの早期発見などに貢献できるのではないか」と話していました。

NHK 2023年7月27日 8時23分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230727/k10014143651000.html