フィリピンを拠点にした特殊詐欺事件で、共謀して高齢者らからキャッシュカードを盗み、現金計約414万円を引き出したとして窃盗罪に問われた山田李沙被告(27)の初公判が28日、東京地裁(今井理裁判官)で開かれ、被告は「協力したことは間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は懲役4年6月を求刑、弁護側は寛大な判決を求め結審した。判決は8月18日。

検察側の冒頭陳述などによると、山田被告はフィリピンの廃ホテルなどから日本国内の高齢者らに噓の電話をかける特殊詐欺グループの「かけ子」。グループは、全国で相次いだ広域強盗事件の指示役とみられる渡辺優樹被告(39)=窃盗罪で起訴=らが組織していたとみられる。

山田被告は被告人質問で、ツイッターで「闇バイト」を検索して組織から勧誘を受け、フィリピンに渡ったと説明。当初は1カ月程度で帰国する予定だったが組織から脅され、監視されるなどして「逃げる勇気がなかった」と述べた。

かけ子としての報酬は「受け取っていない」とする一方、「幹部に気に入られ、現金や靴などをプレゼントしてもらったことはあった」と明かした。


被害者らに対し「申し訳なく思う。働いてきれいなお金で弁済したい」と述べた上で、最終意見陳述では、一連の広域強盗事件に言及。「私は関与していないが、自分の見たことについては(捜査当局に)話をしていきたい」と述べた。

産経新聞 2023/7/28 19:23
https://www.sankei.com/article/20230728-J5VEPOXOVJMSNDY7MJAXZO4KMM/