安藤 剛

 2023年5月に就任した奈良県の山下真知事は、23年度予算に計上した県事業のうち29件で予算の執行を一部、または全額中止すると発表した。鉄道路線や防災拠点、スポーツ施設の整備など公共施設の事業を数多く含む。6月12日に開いた記者会見で明らかにした。

 山下知事は23年4月の知事選に日本維新の会公認候補として出馬し、自民党系の新人と現職の荒井正吾知事(当時)を破って当選した。6月16日に開会した県議会の所信表明演説では、行財政改革を重視し、ハード中心の大型公共事業への依存度を下げる姿勢を取ると明らかにしている。

■大型インフラ整備の中止に踏み切る
奈良県の山下知事が23年度予算の執行を中止する主な公共施設の整備事業。財源が県単独ではない事業を含む。「想定事業費」は事業全体に要すると見込む費用。金額の1万円未満は切り捨て(出所:奈良県の資料を基に日経クロステックが作成)
 予算全額を執行しないと明言した事業は3件。そのうち国道168号のバイパスと、31年開催予定の国民スポーツ大会などの会場となる施設の2件が建設系だ。

 23年度予算のうち約25億円の執行をやめる「大規模広域防災拠点」は、県が五條市内に計画している施設だ。南海トラフ巨大地震発生時の輸送機やヘリコプターの離着陸などを用途とする。山下知事はこの事業について、県が陸上自衛隊の駐屯地を誘致できなかったことへの埋め合わせに過ぎないとの見方を示し、必要性に対する疑念を述べた。(以下有料版で,全690文字)

日経クロステック/日経コンストラクション 2023.06.23
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00142/01634/?n_cid=nbpnxt_twad_68&twclid=2-28vza2m2fsnkss1nivmuq8d32