東京地検特捜部が自民党の秋本真利衆院議員の事務所などの家宅捜索に踏み切った4日、同党には岸田内閣の支持率下落に拍車が掛かりかねないとの危機感が広がった。党内では今秋の衆院解散の可能性も取り沙汰されてきたが、捜査の展開次第では解散が遠のくとの見方も出ている。

 「捜査機関の捜査が進んでいる状況なので、今の時点で政府としてコメントすることは控えなければならない」。岸田文雄首相は4日の記者会見でこう語った。
 岸田政権に対しては、マイナンバーカードを巡るトラブル続出に加え、海外研修中の自民党女性局議員の軽率なSNS投稿を受けて風当たりが強まっている。そこに内閣の一員だった秋本氏(4日に外務政務官を辞任)側の収賄疑惑が追い打ちをかける形となった。
 党関係者は「今解散すれば言い訳ばかりの選挙になる」と指摘。「そういう選挙では勝てない。首相は当面、解散を打てないだろう」と語った。党内からは秋本氏に離党を求める声も上がっている。連立を組む公明党の石井啓一幹事長は記者会見で「事態の進展を見守りたい」と述べた。
 一方、野党は批判を強める。立憲民主党の泉健太代表は会見で、収賄疑惑が洋上風力発電絡みであることに触れ、「クリーンなエネルギーなのにダーティーな話が出てくる。企業・団体献金の禁止にチャレンジしなければ政治は腐る」と非難。秋本氏に説明責任を果たすよう求めた。
 国民民主党の榛葉賀津也幹事長は「党もほっておいては駄目だ。政府も本気で汗をかかなければ駄目だ」と述べ、真相究明への努力を要求。共産党の小池晃書記局長は「トカゲのしっぽ切りのように真相隠しするなら、岸田政権全体の責任に発展する」と指摘した。

時事通信 2023年08月05日09時46分
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