写真は言葉以上に多くを語ることがある。2023年3月に米テネシー州ナッシュビルの学校で発生した銃乱射事件の後、銃規制を求めて立ち上がりながらも、その声が抑圧された親たちや州議会議員のいら立ちも、写真に記録されていた。

ある写真からは、州下院議員ジャスティン・ピアソン氏の落ち着いた声が聞こえてくるようだ。銃関連法の改正に至らなかった州議会審議の後、議事堂に立ち、片手を挙げて祈りを捧げる姿である。


事件はナッシュビルのコブナント・スクールで起きた。同校出身者が9歳の児童3人と職員3人を射殺したのだ。

ピアソン氏と、同じく黒人の民主党州下院議員であるジャスティン・ジョーンズ氏は、州下院の議場で銃規制を求める抗議行動の先頭に立ったことをとがめられ、短期間除名処分を受けた。民主党の州下院議員としてはもう1人、白人のグロリア・ジョンソン氏もこの抗議行動に参加していたが処分を免れ、レイシズム(人種差別)との批判を招いた。州議会で圧倒的優位にある共和党は人種差別ではないと反論。「武器を保有し携行する」権利を認めた合衆国憲法修正第2条の後退となるような全ての試みに反対している。

コブナント・スクールでの銃撃事件を受けて銃犯罪対策を協議するための公共安全に関する特別会の開会式で、国への忠誠を宣誓する議員。ナッシュビルで2023年8月21日撮影(2024年 ロイター/Cheney Orr)

テネシー州議会下院で議長を務める共和党のキャメロン・セクストン氏は、議会として対応すべき問題となるようなレイシズムはないと述べた。

「その(レイシズムという)言葉は、人々の対話を打ち切るための切り札として使われることがある」とセクストン氏は言った。

前週に州議会議事堂で行われた銃規制要求デモの映像が再生され、共和党がデモ参加議員を除名処分とする決議を準備する中で、ジョーンズ議員とピアソン議員が拳を突き上げて抗議する。ナッシュビルで2023年4月6日撮影(2024年 ロイター/Cheney Orr)

ピアソン氏の選挙区であるメンフィスは黒人が多数派を占める街で、銃犯罪の抑制に苦心している。ピアソン氏自身も、友人や親族を銃犯罪により失っている。

「われわれが議場の演壇に登ったとき、私の頭にあったのは、コブナント・スクールの子どもたちだけではなかった」とピアソン氏はロイターに語った。「銃犯罪のために日々弔いを出しているメンフィスの人々のことを考えていた」

テネシー州議会で優位に立つ共和党が、前週に州議会議事堂で行われた銃規制要求デモに参加しジョーンズ氏ら2議員の除名処分決議を準備する中で、支持者にあいさつするジョーンズ氏。ナッシュビルで2023年4月6日撮影(2024年 ロイター/Cheney Orr)

抗議行動の数カ月後、共和党のテネシー州知事は州議会の特別会を招集したが、銃の安全に関する法律については何の進展もなく閉会した。特別会の会期中、共和党の指導者らは傍聴の市民が審議の最中にプラカードなどを掲げることを禁止し、議事堂へのアクセスも制限した。

会期中は州警察官の姿が増加し、ある議員が「傍聴者が手に負えなくなっている」と発言したことを受けて、コブナント・スクールの父兄を含む市民を排除する一幕もあった。

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2/16(金) 13:00配信 ロイター
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