【コラム】「岸田春風」が韓国に届くためには

「春風のように近付いて人の心を動かす」

 日本の岸田文雄首相が外相として在任していた当時(2012~17年)、外務省職員から聞いた「岸田リーダーシップ」についての言葉だった。公職社会では相手が自分より上の場合、相手の調子に合わせないといけない場合がよくあるが、岸田氏の場合はそれほどないと話した。歴史挑発を繰り返していた安倍晋三元首相によって韓日間の葛藤が深まっていたときだったので、物腰が柔らかく丁重なスタイルの外相がいるというのが一方では韓国に幸いな側面もあった。

 今の両国関係は当時と比較できない水準まで改善された。先月17日、岸田首相が先に提案して行われた電話会談で、岸田首相が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に米日首脳会談の結果を直接説明したというニュースを聞いて耳を疑った。以前だったら米国を通じて事後説明を聞いたかもしれないが、日本側から、それも最高位級からこのような説明が行われるというのは想像もつかないことだった。

 だが、何か足りない。両首脳間「ブロマンス」は歓迎するが、日本側が当然すべき実質的な何かが見られない。一例として、尹政府が強制徴用被害に対する第三者弁済解決法を決断して1年を越えたが、必要財源用意に日本企業の参加は一度もない。

 勘違いしないでほしい。尹政府が「意志」だけで世論を説得するには限界がある。目の前には悪材料が幾重にも重なっている。

(以下ソースにて)

中央日報/中央日報日本語版2024.05.08 15:18
https://japanese.joins.com/JArticle/318406
https://japanese.joins.com/upload/images/2024/05/20240508151441-1.jpg