スイスの食品会社が世界初の植物ベースのゆで卵を開発したと発表した。スイス紙「ル・タン」は、植物性食品が食品大手企業にとっての新たな有望市場になっていると指摘する。
【動画で見る】ミグロ社の“卵じゃない卵”

“ヴィーガン卵”開発競争が始まる

10月29日、スイスの食品会社ミグロが「世界初の植物由来のゆで卵」を開発したと発表した。主な原料は大豆だ。

試食したジャーナリストのアリーヌ・バサンは「やや塩気がある」味だが、「これまで卵を避けざるを得なかった」ヴィーガン(植物性の食品しか口にしない完全菜食主義者)の人々をきっと満足させるだろうと評価する。

ミグロ社のヴィーガン卵は、11月2日からスイスの一部スーパーで4個あたり4.40スイスフラン(約550円)で販売が開始された。「ル・タン」紙は「見た目も本物」に近いと紹介している。

https://youtu.be/UcClW-sZRD8
ミグロ社の植物由来の“卵じゃない卵”

11億5000万ドル規模の巨大市場

同紙は「この革新的な卵は(もうゆでてあるので)お菓子作りには使えない」と指摘するが、すでにネスレ社が液体状の卵を開発しているので、たいした問題ではないだろう。こちらの価格は卵およそ4個分に相当する330mlで5.95スイスフラン(約741円)だ。

食品業界がこうした新しい食品の研究開発に莫大な資金を投資をするのは、そこに「新たな金脈」を見出しているからだ。

たとえば、米国では植物由来の液体状の卵の売り上げは、昨年2700万ドルに上り、来年には11億5000万ドルに達する見込みだ。

「ル・タン」紙によれば、食品大手企業がヴィーガンだけをターゲットにしているわけではなく、コレステロールを減らしたいなど、健康を気にする人々や、動物福祉に配慮する人々も想定顧客層だという。

https://courrier.jp/news/archives/266735/