携帯電話4社の決算が11日、出そろった。10日までに令和3年9月中間連結決算を発表したNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は菅義偉前首相の要請を受け今春に打ち出した携帯料金の値下げの影響でいずれも増収減益となった。一方、11日に3年1〜9月期連結決算を発表した楽天グループは、携帯電話契約者数が増加傾向にあるが、基地局整備など先行投資が響き携帯電話部門の営業損失が1052億円で前年同期比から約440億円悪化した。

 楽天は基地局整備を進めているが、半導体不足の影響から、自社回線の人口カバー率96%の達成時期が当初の今夏から来年3月まで遅れる見通しを明らかにしている。

 三木谷浩史会長兼社長は11日のオンライン会見で「基地局整備が進むことで顧客獲得も加速する自信がある」と強気の姿勢を崩さなかったが、通信環境が整っていない地域ではKDDIから回線を借りるローミング(乗り入れ)をしており、費用がかさんでいる。

 追い打ちをかけるのが競合各社の楽天を意識した低価格プランだ。NTTドコモは10月、全国のドコモショップで格安スマートフォン事業者のプランの取り扱いを開始。KDDIも月額基本料0円からの新プランを9月に投入しており、高橋誠社長はこのプランには楽天に対抗する意図があったと明言している。

 総務省の資料によると、携帯電話市場の楽天が占めるシェアは6月時点で1・9%に過ぎず、ほか3社を脅かす数字ではない。

 楽天は5年度に携帯事業を黒字化させる目標を掲げているが、今後も基地局整備や顧客獲得のコストなどがのしかかる見通しで、実現性には疑問符が付く。

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