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「桐たんすを作るうえでかんな掛けは最も重要。微調整を繰り返すことで気密性の高いものになります」と話す三本和好さん

 クローゼット付きの住宅が増えてきたいま、家具店でも桐たんすを見かける機会が減った。それでも、調湿性が高くてカビやシミができにくく、防虫効果がある最高級家具としてその人気は衰えない。特に、海外で反響を呼んでいるのが、釘を使わずに板と板を組む「指し物」技術。精巧な技とあって高い評価を受けているのだ。日本の桐たんす生産量の7割を占める、新潟県・加茂桐箪笥伝統工芸士会会長の三本和好さん(65才)は話す。

「接合部分に正方形が並んで見える『ほぞ組み』が一般的ですが、私は『ねじれ組ほぞ』という独特な方法で行います。斜めのほぞがフックとなり、一度はめると緩むことはありません。結合部をあえて見せるのも、技術力の高さを示すためです」(三本さん・以下同)

 また、桐たんすは火事に強い。

「桐は湿気を吸いやすいため、消火活動で水をかぶれば膨張して寸分の隙間もなくなり、火を通さなくなるのです。表面が黒く燃えていても、1か月ほどそのまま乾燥させてから引き出しを開けると、中身が無事であることが多いんです」

 三本さんが手がける桐たんすには、引き出しを開ける順番や、隠し扉の細工によってカギがかかる「からくり」が施されてたものもある。こんな仕掛けも、海外の人には“ワンダフル”な名品となっているようだ。

撮影/浅野剛

※女性セブン2021年12月9日号

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