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張本勲氏(左)と徳光和夫氏(C)日刊ゲンダイ

 野球評論家の張本勲氏(81)がTBS系の情報番組「サンデーモーニング」(日曜午前)の「週刊御意見番」を年内で降板することが先日発表された。張本氏の降板を惜しむ声もあるが、東京五輪女子ボクシングで金メダルを獲得した入江聖奈選手(21)について、「女性でも殴り合いが好きな人がいるんだね。どうするのかな、嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合って」と問題発言をするなど、炎上騒ぎも度々あった。

 一方、自民党の二階俊博元幹事長(82)が先月、菅義偉前首相(72)から幹事長の交代を告げられたことに対し、「『辞めてもらう』とか言う資格があるか」「対等でも何でもないけど、生意気言うもんじゃないよ」と憤りを見せたことも注目を集めた。

 徳光和夫アナウンサー(80)の「AKBの1人や2人は妊娠させられる」という超ド級のセクハラ発言など、いわゆる「老害発言」が最近続いている。

「日本でいまだに老害と呼ばれるような発言がなくならないのは、“先の世代の悪しき慣習”が根強く残っているためです。日本のジェンダーギャップ指数は、長年先進国の中でも最低レベル。今年は156カ国中120位でした。男尊女卑は昔からある日本の価値観であり、それが当たり前だった時代もあったので、そういう考え方に疑問すら感じることができない高齢者もいるのでしょう。度々問題発言が指摘されてきた張本さん自体も、『何が悪かったのか』ということは実は今もピンときていないかもしれません。ご自身の意識と世間の意識のズレやギャップがあることを理解できていないだけでなく、若い頃の自分の価値観が間違いであるということを認められない、認めたくないという心理もあるのだと考えられます」(老害問題に詳しい一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介氏)

 さらに、老害発言をする高齢者には共通する3つの要素があるという。

「1つ目は孤独。これは『寂しいから何か言わずには気が済まない』という行動に直結します。2つ目は執着。昔の価値観にしがみついていて、それを手放すことができない。3つ目は自己顕示欲。これは孤独の裏側でもありますが、『俺の話を聞いてくれ』『俺が正しいんだから、言うことを聞くべきだ』と自分を尊重してほしいという心理です。この3つのどれかの心理がすごく強いと、いわゆる“老害”と呼ばれる傾向が高くなります。そしてその心理の根底にあるのは、せっかく自分たちが頑張ってきたのに自分たちが思い描いたようないい未来になっていないことへの不満です。日本は高齢者が多く、政治がそこの票を得ようとするため、どうしてもシルバー民主主義になってしまいがちですが、お年寄りが寛容になるのは正直とても難しい。もっと若い人が政治に関わるようにしていかないと旧態依然とした日本の価値観を根本から変えることは厳しいと思います」(安藤俊介氏)

 フィンランド、フランスなどのEU諸国やニュージーランドでは40代以下の若い首脳が次々と誕生している。価値観が常にアップデートされる時代の中で、若い世代がトップになることで、必然的に若い世代も政治に参加することができるのだろう。日本は世代交代の過渡期にあるのかもしれない。

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