日本人にとってなじみ深い犬種である「柴(柴犬)」。私たちのとても身近な存在ですが、じつは、柴は「天然記念物」ってご存じでしたか? そこで今回は、天然記念物に指定された柴の歴史についてご紹介します。

柴は天然記念物!

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引用元: いぬのきもち投稿写真ギャラリー

天然記念物とは「古来から存在し、日本の文化を担う重要な存在で、天然のままで残っているか、あるいはほとんど人為(じんい)の影響を受けていないもの」とされています。
柴もこれに当てはまるとされ、昭和11年12月16日に天然記念物の指定を受けました。そのときの資料を見ると、当時の文部大臣、平生釟三郎により、柴が天然記念物に指定されたと記されています。

日本古来の土着犬の姿を受け継ぐ柴

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引用元: いぬのきもち投稿写真ギャラリー

天然記念物に指定された柴は、どのように日本人とともに歩んできたのでしょうか。その歴史を簡単にご紹介します。

柴のルーツは縄文時代の土着犬

柴の歴史には諸説ありますが、縄文時代には「縄文犬」と呼ばれる柴に似た犬が人々と暮らしていたといわれています。
柴は縄文時代から続く土着犬の姿をそのまま受け継いでいるのだそう。私たち日本人が柴を見るとどこか懐かしく親しみを感じるのは、私たちの祖先も、今の柴と似た姿の犬と一緒に暮らしていたからかもしれませんね。

一時は絶滅の危機に瀕していた!?

古来から日本に住む人々と生活をともにしていた柴の祖先ですが、明治時代にはその数が激減してしまいます。外国との交流が盛んになり洋犬が珍重される一方、野放しだった日本犬は当時発令された「畜犬取締規則」によって捕獲されてしまいました。また、洋犬との交雑により、純粋な日本犬が街から姿を消してしまったといわれています。

日本犬を守ろうとする風潮が高まり天然記念物に

昭和3年に発足した日本犬保存会は、山出し(戦争などで街から消えた日本犬を探し出すこと)で見つけた質の高い犬の研究・登録を行いました。そして昭和11年に、日本の文化を担う存在として柴が天然記念物に指定されたのです。
ちなみに、定かではありませんが、この少し前に「柴」という犬種名で呼ばれるようになったという説があり、“小さい”という意味が名前のゆえんといわれています。

古くから日本人とともに歩んできた柴。身近な存在の柴が天然記念物だと思うと、なんだか特別な感じがしますね!

参考/「いぬのきもち」特別編集『柴犬の飼い主さん3万人の体験から作った!柴犬との暮らしがもっと楽しくなる本』(監修:東京農業大学農学部教授 長島孝行先生)
文/terasato
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で「柴」として投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
※歴史には諸説あります。

https://dog.benesse.ne.jp/lovedog/content/?id=114660