疑念を残したまま終わった“調査”
「私からは幹事長に調査を指示をして、幹事長から必要な調査を終えたと、そして会見に至ったというふうに報告を受けております。ですので、幹事長の説明ということでわが党としての説明を終了しているということであります」

1月14日の会見で立憲民主党の泉健太代表は、CLP問題に終止符を打つことを宣言した。CLP問題とはインターネット番組を制作・配信する「Choose Life Project(CLP)」に、立憲民主党から「動画制作費」として2020年8月7日に447万5390円、「企画広報費」として9月4日に563万7090円、10月9日に251万1420円と238万4370円の計1500万8270円が広告代理店を通じて支払われた件だ。

同党の西村智奈美幹事長は12日の会見で、(1)フェイクニュースや不公平な差別が横行する現状に対抗するため、新しいメディアを作りたいというCLPの考え方に福山哲郎前幹事長が共感し支援を行った、(2)番組編成について立憲民主党が影響を与える意図はなく、番組内容に関する請求は行われていないことを確認したことを公表。

2020年7月にCLPが法人化してクラウドファウンディングを開始したため、9月に支援は打ち切られたが、立憲民主党はこれに関与していないと発表した。

その上で現執行部としては、「本件の支出は違法なものではないものの、公党としては適切ではなかった」との判断を発表した。すなわち刑法の背任罪などには該当しないものの、公党が特定メディアに対して資金提供した点、その資金提供を公表しなかった点、そして立憲民主党からの支援の妥当性について党内で議論・検討されていない点について疑念を残したのだ。

過去の「セクハラ問題」が思い出される
しかしながら西村幹事長による「調査結果」は口頭での報告のみで文書としてまとめられておらず、疑念について存在を“宣言”するのみで、国民の不信を解消しようという努力は見られない。ここで思い出したことがあった。2017年の衆議院選で立憲民主党の公認候補として出馬し、比例復活した青山雅幸前衆議院議員の元女性秘書に対するセクハラ問題だ。

青山氏は枝野幸男代表(当時)の東北大学の先輩で、立憲民主党の公認候補(社民党の推薦も得た)として静岡県第1区で出馬して3万8531票を獲得し、39.93%という低い惜敗率にもかかわらず比例区で当選した。ところが当選直後の10月26日発売の週刊文春によってセクハラ問題が発覚したため、無期限の党員資格停止処分が下された。

これに対して佐藤成子静岡市議らが2018年4月11日、東海地方の女性地方議員31名の署名を立憲民主党に提出して青山氏の議員辞職を求めたところ、対応したのが当時の党ジェンダー平等推進本部長だった西村氏。西村氏は「党はすでに青山氏を処分しており、被害者との間で『二度と表にしない』との合意が成立している」とさらなる処分に消極的だった。

旧立憲民主党は党規約の中にジェンダー平等を盛り込み、セクハラ禁止やDV防止、そのための刑法改正などに取り組んできたが、その実態はまさに「仏を作って魂を入れず」というものだったのだ。