身内に甘く、自浄能力に欠けると批判されても仕方あるまい。

立憲民主党が、報道番組を制作、配信するネットメディア「Choose Life Project(CLP)」に番組制作費などとして多額の資金を提供し、それを伏せていた問題だ。

ジャーナリストの津田大介さんらCLP出演者が今月5日、「特定政党からの資金提供は報道倫理に反する」と抗議声明を出したことで発覚した。CLPは、資金提供の事実を公表しなかったことを謝罪した。

立民の西村智奈美幹事長も記者会見で、「不適切で国民に疑念を与えた。反省すべきだ」と陳謝した。ただ、「違法性があったとはいえない。番組内容には一切関与していなかった」とも述べ、資金提供を判断したという福山哲郎前幹事長の処分を否定した。

西村氏は、今夏の参院選の京都選挙区で福山氏を公認する方針も示した。福山氏は番組内容への関与を否定するコメントを出しただけだ。おざなりな対応で幕引きを図る意図が明白ではないか。

泉健太代表は「(福山)前幹事長が国民に説明せねばならない」と語ったが、野党第一党としての責任をどう考えるのか。透明性を欠く形での資金提供で報道が歪(ゆが)められる懸念は十分にあった。

福山氏が会見を開き、自らの言葉で説明すべきは当然だ。同時に泉代表は、福山氏の処分も含めて党としての自浄能力を早急に示さなくてはならない。

西村氏の説明によると、令和2年8〜10月、広告代理店を通じてCLPに計4回、約1500万円を支出した。福山氏はフェイクニュースに対抗する新しいメディアづくりに共感したという。

番組への関与はなかったというが、立民は福山氏だけでなく、CLP関係者も含めて、どこまで詳細に調査したのか。枝野幸男前代表は関わっていなかったのか。こうした真相解明に本気で取り組んだとは思えない。立民は改めて第三者委員会で調査すべきだ。

政治資金収支報告書によると、立民は他にも、学生運動の元SEALDsとの関係が取り沙汰されるインターネット広報会社「ブルージャパン」に平成29年以降、計9億円以上を支出している。西村氏は個別取引を理由にだんまりを決め込んでいるが、無責任ではないか。調査の徹底を求めたい。

https://www.sankei.com/article/20220126-GWBVNHIWTVMW3DVKBXY5XB5PUE/