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ウクライナのゼレンスキー大統領は「このようなパニックは必要ない」と述べた

ロシアがウクライナ国境周辺で軍を増強させる中、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は28日、パニックを作り出さないよう西側諸国に求めた。緊迫するウクライナ情勢をめぐってはジョー・バイデン米大統領が前日、ロシアが2月に侵攻する可能性があるとゼレンスキー氏に警告していた。

ゼレンスキー大統領は首都キーウ(キエフ)で記者会見し、侵攻が迫っているとする警告が、ウクライナ経済を危険にさらしていると述べた。

記者団からは次々と、ロシアによる侵攻の脅威について質問が飛んだ。するとゼレンスキー氏は、報道機関そのものがパニックを作り出していると非難した。

ロシアはウクライナを攻撃する計画はないと主張している。28日には、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相が同国は戦争を望んでいないと発言した。

ロシアはウクライナ国境付近に約10万人規模の部隊を動員しているが、ゼレンスキー氏は、昨春に同様の部隊が集結した時以上の脅威ではない様子だと述べた。

「尊敬される複数の国家指導者でさえ、明日にも戦争になると言ってくる。これはパニックだ。そのせいで我々の国家にどれほどの犠牲を払えというのか」

「国内情勢の不安定化」こそがウクライナにとって最大の脅威だと、セレンスキー氏は述べた。

アメリカやイギリスなどが一部の大使館職員を退避させていることについては、いら立ちをあらわにした。

「外交官は船長のようなものだ」、「沈んでいく船から最後に離れるべきだ。ウクライナはタイタニック号ではないが」と、ゼレンスキー氏は述べた。

アメリカの対応
バイデン米大統領は28日、「近いうちに」東欧に小規模部隊を派遣し、同地域における北大西洋条約機構(NATO)のプレゼンスを強化する方針だと述べた。具体的にいつ、どこへ派遣するかは明らかにしなかった。

24日には米国防総省が、戦闘準備が完了している8500人規模の米軍部隊をいつでも派遣できる態勢を整えていると明らかにした。

ロシアは西側諸国に対し、ウクライナのNATO加盟を認めないよう求めてきた。しかし、アメリカはロシアの要求を拒否し、代わりに「真剣な外交的道筋」をロシアに提案した。

ウラジーミル・プーチン大統領はその後、西側諸国がロシアの安全保障上の懸念を無視していると非難した。

ロシア政府の発表によると、プーチン氏は28日のエマニュエル・マクロン仏大統領との電話会談で、アメリカの対応を検討した上で今後の行動を決めると述べたという。