作家で元東京都知事の石原慎太郎氏(享年89歳)が2月1日に亡くなった。日本国内だけでなく海外のメディアも大々的に報じる中、韓国の聯合ニュースが1日、「日本の極右妄言製造機が死亡」の見出しで報じたことが波紋を広げている。

同メディアは石原氏が都知事時代に「三国人、外国人の凶悪な犯罪が繰り返されており、震災が起きたら騒擾事件が予測される」、(慰安婦問題で)日本にいる朝鮮人を強制した証拠がどこにありますか」などの過去の発言を列挙し、「日本の再武装など保守層を刺激する論理を展開する手法で、日本の保守右傾化を主導した」と糾弾。「韓国関連でも数多くの妄言をぶちまけた」と伝えた。

石原氏の死去についてその反応は様々だ。中国の人民日報系の環球時報の電子版は「右翼の政治屋」と紹介。石原氏が12年春、尖閣諸島の購入計画を提案し、寄付金を募り始めたことを指摘。日本政府が尖閣の国有化を決め、日中関係を悪化させたと強調した。中国の短文投稿サイト・微博では「中日関係を破壊した罪人」、「存在自体が中国にとって元凶だった」などのコメントが相次いだ。

一方で、台湾のアップルデイリーも死去を速報で伝え、「台湾に友好的な人物として知られ、故・李登輝元総統のよき友人だった」と紹介。1999年11月に李登輝氏の招きに応じ、大地震の被害にあった台湾を訪れたことなどにも言及している。

石原氏は1956年、一橋大学在学中にデビュー作の「太陽の季節」で芥川賞を受賞。影響を受けた若者の読者たちが「太陽族」と呼ばれるなど、当時の社会現象に。1968年に政界進出。自民党で国会議員に初当選すると、環境庁長官や運輸大臣を歴任。1999年の東京都知事選で当選して3期を務め、東京オリンピックの誘致などに尽力した。4期目の任期中の2012年10月に知事を辞任すると、橋下徹氏とともに日本維新の会代表に就任。衆議院議員として17年ぶりに国政復帰した。2014年の衆院選で落選し、政界を引退した。

一般紙の国際部記者は「『三国人発言』などで韓国、中国の人達に不快な思いをさせたことは弁解の余地がありません。ただ、他国の政治家が亡くなった時にこのような書き方はあまりにも酷い」と不快感を露わにする。

聯合ニュースの記事について、日本のネットユーザーからは「日本の報道機関も色々問題はあるけど、他国の政治家が亡くなった時に決してこのような侮蔑的な表現で報じることはない。ありえない」、「石原さんを好きではないし、その過激な思想は受け付けなかったけど、こういう報道は絶対に許されない。日本政府も問題視するべきだと思います」など批判的なコメントが目立った。

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