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バイデン米大統領(左)とプーチン露大統領=高本耕太、大前仁撮影

 ロシアのペスコフ大統領報道官は11日、プーチン露大統領が12日にバイデン米大統領と電話で協議すると明らかにした。タス通信などが報じた。プーチン氏は12日にマクロン仏大統領とも電話協議する予定。ロシア軍が隣国ベラルーシなどで軍事演習を始め、ウクライナ周辺での軍事的緊張がさらに高まる中、緊張緩和に向けた外交努力が強まっている。

 タス通信などによると、プーチン、バイデン両氏の電話協議はモスクワ時間の12日夜(日本時間12日深夜〜13日未明)に米国側の要請で行われる。米露首脳の電話協議は21年12月30日以来。ロシアは昨秋以降、ウクライナ国境付近に10万人規模の部隊を集結させ、北大西洋条約機構(NATO)のウクライナなど東方への不拡大などを要求。米欧は今年1月下旬にNATO不拡大などを拒否する回答を送る一方、安全保障問題でロシアと協議を継続する姿勢を示し、露側が再回答の書面を準備する作業を進めていた。

 ただ、プーチン政権は米欧諸国の回答に「ロシアの懸念が無視されている」と不満を示している。ロシア軍は10日からベラルーシで大規模な合同演習を開始し、ウクライナ南岸の黒海にも大型揚陸艦を派遣するなど、親欧米志向を強める隣国ウクライナに圧力を強める構図が続いている。

 ウクライナ東部で続くロシアが支援する親露派武装勢力とウクライナ軍の紛争の解決について仲介役の独仏を加えた4カ国の高官級協議が10日に開かれたが、進展は見られず、停戦ライン付近での戦闘行為も増大している。

 マクロン氏は7日にモスクワを訪問し、プーチン氏と5時間以上にわたって会談。8日にはウクライナのゼレンスキー大統領とも会っており、電話協議で緊張緩和に向けた仲介外交の成果をプーチン氏に伝える方針とみられる。

 しかし、バイデン氏が10日に米国民のウクライナからの退避を呼びかけ、日本の外務省もウクライナ全土に退避勧告を出すなど、ウクライナからの出国を促す動きが相次いでいる。米欧では演習名目で集結するロシア軍がウクライナに侵攻する懸念が強まっており、首脳間の協議が緊張緩和につながるかどうかが注目される。【モスクワ前谷宏】

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