新聞購買数の減少など、昨今、新聞業界の低迷がささやかれています。そんな中、朝日新聞は創業以来の大赤字になりました。

ここでは、朝日新聞の現状と赤字になった原因を解説します。

朝日新聞が441億円の赤字に!決算の内容とは

まずは、直近の決算内容から朝日新聞の現状を見ていきましょう。2020年度の決算では、441億円もの赤字(純損失)になりました。これは創業以来最大の大赤字となっており、原因は売上高の減少にあると考えられます。

2020年度の朝日新聞の決算内容を見ると、売上高は約2,937億円でした。前年度の売上高が約3,536億円だったため、前期比16.9%減と大幅な減少となっています。また、本業のもうけを示す営業損益は70億円の赤字です。前年の営業損益は23億円の黒字だったため、大幅な減益となっています。

このように、2020年度の朝日新聞の決算は、本業のもうけが赤字に転落するという、かなり悪い業績でした。

朝日新聞が赤字になった原因

では、朝日新聞が赤字になった原因とは、一体何でしょうか。朝日新聞は、赤字の原因について「新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた」と説明しています。

朝日新聞の説明の通り、2020年度の決算では、約13億円のコロナによる特別損失を計上しています。確かに、赤字転落には、新聞事業が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたこともあるでしょう。

しかし、それだけでは、営業損失70億円、純損失441億円の赤字の額には、到底追いつきません。それ以外の原因もありそうです。

実をいうと、赤字転落の背景には、新聞などのメディアコンテンツ以外の不動産事業の業績悪化が影響しています。もともと、新聞の発行部数は減少傾向だったため、新聞事業は不調でしたが、不動産事業の黒字が支えていました。2020年度は、新聞事業に加え、コロナ等の影響で不動産事業も業績が悪化したことも、今回の赤字転落につながった一因と考えられます。

今後、新聞はなくなってしまうのか

発行部数の減少など、新聞業界が衰退の危機に陥っているのは間違いありません。その一方で、電子版の拡大など、時代に合わせた形態に変化しようとしています。今後、紙の新聞は減少していくことが予想されますが、「新聞」は時代に合わせて形を変えて存続していくと思われます。

文・はせがわあきこ

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