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エジプトはIMFに支援を要請(シシ大統領) (C)ロイター/Bandar Algaloud/Courtesy of Saudi Royal Court

「プーチンの戦争」は世界経済を確実にむしばんでいる。ロシアによるウクライナ侵攻開始から1カ月。エジプトが23日(現地時間)、IMF(国際通貨基金)に支援を要請した。戦争勃発後、海外投資家が国債市場から資金を引き揚げたため外貨不足が深刻化。21日にエジプト・ポンドを対ドルで14%も切り下げたことから、臆測が広がった直後だった。

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 エジプトの主食はパンだが、小麦消費量の約6割を輸入に依存。そのうち約85%をロシアとウクライナが占め、急激なパンの値上がりは庶民の台所を直撃している。シシ政権は今月上旬、小麦や小麦粉、パスタ、トウモロコシなどの食品輸出を3カ月間禁止したが、焼け石に水。そうでなくても、コロナ禍からの経済回復に伴う穀物需給の逼迫により、2月のCPI(消費者物価指数)は前年比8.8%も上昇。とりわけ野菜や果実は35.1%上昇と高騰している。

 外貨準備高もジリ貧。2020年6月には輸入額の7.3カ月分相当を保有していたのが、21年12月には6.2カ月分に縮小。食糧もエネルギーも輸入頼みのエジプトは外貨不足にも苦しみ6年ぶり2度目のIMF駆け込みに至ったわけだ。

対ロ制裁の悪影響が出始めた
 北アフリカの地域大国のエジプトがここまで追い込まれたのだから、予備軍がゾロゾロいてもおかしくない。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。

「この戦争でヒト・モノ・カネが動かなくなった上、国際社会による対ロ制裁は直接的にも間接的にも世界に悪影響を及ぼしています。ロシアの主要銀行が国際決済網SWIFTから排除されたことで、取引のある関係国の決済が滞ってしまっている。米国が金融引き締めに舵を切った影響も大きい。世界のマネーは利上げした米国に吸い取られ、ドル建て債務を多く抱えて食糧を輸入に頼る中東・アフリカの途上国などは悪影響をモロに受け始めている。戦争がどれほど長期化するのか、FRB(連邦準備制度理事会)はどうあっても急激な利上げを強行するのか。世界経済はこれまでにない不透明感に覆われ、先は見通せません」

 世界大不況のドアは開いてしまったのか。プーチン延命が世界最大のリスクになってきた。

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