ウクライナの準軍事組織「アゾフ連隊」(大隊)について、「ネオナチ」と記載していた公安調査庁が、「国際テロリズム要覧」から該当部分を削除した。サイト上で明らかにした。

同隊はロシア側が「ネオナチ」と批判し、ウクライナの侵略の正当化に用いられてきた。駐日ロシア大使館も「公安調査庁がネオナチと認定」などと発信するなど、同庁の見解として広がりを見せていた。

同庁側は記述が「独自の評価を加えたもの」ではないとし、「事実と異なる」「誤った情報が拡散されている」などとしている。

https://img.buzzfeed.com/buzzfeed-static/static/2022-04/13/7/asset/b96d474ef097/sub-buzz-1580-1649834925-9.jpg?downsize=700%3A%2A&;output-quality=auto&output-format=auto
AFP=時事
アゾフ連隊のメンバー(3月11日撮影)

アゾフ連隊はウクライナ東部ドンバス地方で、親ロシア派(分離派)に占領される過程で生まれた民兵組織がルーツ。

もともとは「アゾフ大隊」だったが、2014年に内務省の国家親衛隊に統合され、正式な国家組織の一部となった。激戦地となった南東部マリウポリなどの戦線で防衛にあたっている。

結成当初は極右、国家主義的で、白人至上主義やネオナチの傾向があったとされていることから、ロシア・プーチン政権が掲げた「ウクライナの非ナチ化」というウクライナ侵略を正当化する口実に用いられている。

民間人の避難先だった劇場がロシア軍に攻撃された事件をめぐっては、「アゾフによる攻撃」という偽情報も流された。残虐行為を行なっているなどとする言説も繰り返し発信されており、「情報戦」のターゲットとなっている。

一方、国家親衛隊への統合後には当初のメンバーが離れるなど極右的な傾向は薄れているともされており、ウクライナ側はロシアの主張に反発している。

アゾフ大隊は米CNNの取材に、同隊がユダヤ系も含む様々なルーツを持つ人で構成されているとして、「我々が白人のレイシズムやナチズムといった思想で結びついていると考えるのはばかげている」と答えている。

なぜ、公安調査庁は削除したのか?

https://img.buzzfeed.com/buzzfeed-static/static/2022-04/13/7/asset/79b8c2b26eae/sub-buzz-1492-1649835575-10.png?downsize=800:*&;output-format=auto&output-quality=auto
訂正される前の公安調査庁『国際テロリズム要覧』(2021年) / Via megalodon.jp

こうした背景を持つアゾフ連隊をめぐり、公安調査庁が毎年発行している『国際テロリズム要覧』(2021年)には、以下のような記載があった。