0001きつねうどん ★
2022/04/14(木) 07:25:29.69ID:CAP_USERカーナビに従わないように呼びかける標識=島根県飯南町下来島で2022年3月22日午後0時7分、目野創撮影
「この先道路が狭くすれ違い出来ません。カーナビの案内にかかわらず、右折してください」。島根県中南部、中国山地の山あいにある飯南町の国道184号交差点に、カーナビの指示に従わないよう促す珍しい標識が立っている。とはいえ、「この先」が通行止めというわけではない。標識の謎を追った。
標識が設置されているのは同町下来島の国道184号と飯石ふれあい農道の交差点。国道を進む矢印の先にある「NAVI」の文字には赤のバツ印が、右折する農道の矢印の先には丸印がついている。どうしてもドライバーを農道へと誘導したいようだ。平日の昼間、交差点近くで30分ほど見ていると、農道へ行く車は数台いたが、国道に進む車は1台もなかった。
そこで、記者はあえて“お勧めされていない”国道ルートを直進してみた。比較的広い所や道路脇にすれ違いができるスペースが所々にはあるものの、全体的に道幅は狭い。さらに進むと、道沿いに木が生い茂り、1車線しかない暗いトンネルや見通しが悪い急カーブも。約10キロを恐る恐る進み、20分ほどで県道との合流地点に着いた。幸いにも対向車はなかったが、すれ違うと苦労しそうな場所が少なくなかった。
交差点に戻り、今度は右折して農道ルートを進んだ。片側1車線が続き、スムーズに先ほどの合流地点に到着。標識からの距離は農道の方が国道より約1キロ遠いが、対向車の心配をする必要もなく、標識に従う方が賢明なようだ。
県雲南県土整備事務所によると、標識は2009年3月、同事務所が設置した。当時のカーナビは国道を優先することが多く、カーナビの案内に従った結果、「車がすれ違えなくて困った」という事案が多発したという。こうした事態を回避すべく、いっぷう変わった標識となった。同事務所の担当者は「地元の人は事情を知っているが、遠方から来た人が知らずに狭い道に入って行くことが多かったようだ」と説明してくれた。
ちなみに記者が8年ほど前に購入したカーナビで先ほどの合流地点を目的地に設定すると、農道ルートを案内された。最近は国道に「迷い込む」車も少なくなっているだろう。それでもこの標識には今なお、遠方から訪れたドライバーへの気遣いが込められている。【目野創】
https://mainichi.jp/articles/20220413/k00/00m/040/101000c