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@DemeryUK/Twitter

<ウクライナ侵攻後、ロシア各地の重要施設で原因不明の大規模火災が相次いで発生。当局は詳細を明らかにしていないが、ウクライナが関与していると非難している>

ウクライナでの戦闘が激化するなか、ロシアでは貯油施設など重要なインフラ施設における原因不明の火災が頻発しているが、またもや不可解な大規模火災が発生した。今回の現場は、ウクライナと国境を接するロシア南西部の都市クルスクだ。

5月5日にソーシャルメディアで拡散した動画には、巨大な炎と黒い煙が建物を包み込む様子が映っている。ここ数週間、ロシアで頻発している原因不明の大規模火災の一つと見られる。ウクライナの報道機関TSNは、この火災はロシア非常事態省によって確認されたと伝えている。

地元メディアは当初、住宅が燃えていると報じていたが、非常事態省はこれらの報道を誤りとしたうえで、非・住宅地が燃えていると発表した。クルスクからの情報によれば、この火災は現地時間午後1時15分に報告され、約20人の消防士と4台の消防車によって消火活動が行われた。

その後、午後2時までに400平方メートルが燃えたとTSNは報じ、周囲の枯れ草にも燃え広がったと補足した。その規模は非常に大きく、クルスクのほぼ全域から見ることができたという。

複数の報道によれば、クルスク市民は爆発音を聞いていないようだ。また、死傷者の有無はまだ明らかになっていない。

3日には政府寄り出版社の倉庫で大規模火災

最近、相次いで発生している火災の一部について、ロシアはウクライナの責任だと非難しているが、ウクライナ側は関与を否定している。

3日深夜には、モスクワ州の都市ノギンスクで大規模火災が発生した。ベラルーシの報道機関ネクスタの第一報によれば、火災はロシア政府寄りの出版社「プロスウェスチニア(「啓蒙」)」の倉庫で発生したもので、倉庫には教科書などの印刷物が保管されていたという。

ソーシャルメディアに投稿された動画には、建物を包む巨大な炎や、塔のように立ち上る煙、消火活動を行う消防隊が映し出されている。

ロシアの独立系メディア「メディア・ゾナ」によれば、2月にロシアがウクライナに侵攻したとき、この出版社は即座に従業員に対し、ウクライナとその首都キーウに関する「不適切な」記述を教科書から削除するよう指示していた。メディア・ゾナの取材に対し、ある従業員は匿名を条件に、「私たちの仕事は、まるでウクライナが存在しないかのように見せかけることだ」と語っている。

ここ数週間、ロシア最大の化学工場、貯蔵所、防衛研究所といった重要な施設で、原因不明の火災や爆発が起きている。こうした不可解な火災の原因について、現在のところロシアは詳細を明らかにしていない。
(翻訳:ガリレオ)

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