石川県の羽咋(はくい)市は能登半島の西の付け根に位置する、人口約2万人の小さな市だ。ここに「NASA特別協力のガチ宇宙博物館がある」というツイートが、2022年5月19日に投稿され、注目を集めている。

「コスモアイル羽咋」という、知る人ぞ知る宇宙科学博物館である。

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「にいがたさくら」(@monkey_across)さんのツイートより、ルナ24号

話題のツイートには上のような写真と共に、「展示物は旧ソ連ルナ計画の月面探査機予備機(本物)や実際に地球に帰還した宇宙カプセル、NASA所有の有人月面探査車の実験機等だ」というコメントも添えられている。「にいがたさくら@小話する人」(@monkey_across)さんが投稿したツイートには、2万を超える「いいね」が付けられ(5月24日現在)、こんな声も寄せられている。

「地元民ですが、過去に一度だけ行きました。一見レプリカ?なのかと思いきや本物だと知ってスゲェや!と思いました(笑)」
「展示物は超ド級・・・ほんまもんの博物館ながら、遊び心たっぷりなんすよ」
「ここは凄い所です。初めて行った時に『何故? こんな所にレッドストーンがあるの』 それだけで舞い上がりましたね」
「展示は凄いのに知名度が低いのよね、ここ」
そして気になるのは、にいがたさくらさんのこんなつぶやきだ。

「凄い展示物だが、揃えれたのには理由がある。予算がなかったからだ」
いったい、どういうこと?「コスモアイル羽咋」とはどんな場所なのだろう? 

ロケットの「レプリカ」が高すぎた

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宇宙科学展示室(画像は「コスモアイル羽咋」ウェブサイトより)

投稿者「にいがたさくら」さんによると、「コスモアイル羽咋」を訪れたのは、2015年のことだったという。「歴史や地理、旅行に関する小話を毎日2話投稿しており、たまたまコスモアイル羽咋の話がバズっただけです」と謙遜気味に語った。

この博物館設立のきっかけについては、別ツイートで次のように紹介している。

「元々羽咋市は8世紀頃の古文書にUFOっぽいのが現れたという記述があり、それに全乗っかりでUFOの町をアピールしている。 当初はそのシンボルとして建てられだのがこの宇宙博物館、コスモアイル羽咋だ。しかし建物の建設に予算を使ってしまい、展示物にかける費用がない」

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モルニア通信衛星(画像は「コスモアイル羽咋」ウェブサイトより)

にいがたさくらさんが投稿した「小話」の詳細は、「コスモアイル羽咋」のウェブサイトで読むことができる。「UFOによる町おこし」の仕掛人となった高野誠鮮(じょうせん)さんのインタビューが掲載されているのだ。

それによると、高野さんは初め、博物館の入り口に実物大のロケットのレプリカを置こうと考えていた。

しかし、レプリカを設置するには1億6000万円かかる上、定期的なメンテナンスが必要になることが分かった。何せ羽咋は海が近いため、潮風でレプリカの鉄がすぐに錆びてしまうのだ。

展示物に使える予算は、2億円。レプリカだけでもそれほどの金額がかかるのなら、予算が全く足りない......。

借用書に、「10 decade」と書き込んだ
さらに、その後見学に訪れたスミソニアン博物館での学芸員との会話から、彼は博物館には「本物の宇宙船やロボットが不可欠」だと確信することになる。