ダッジ「バイパー」は、歴代アメリカンマッスルカー最大級の8リッターV10エンジンを搭載しています。イギリス在住のとあるバイク・エンジニアが、そのモンスターエンジンをバイクに搭載してしまいました。

ダッジ「バイパー」の8リッターエンジンをブチ込んだバイクが登場!
 2003年のデトロイトショーでダッジがコンセプトモデルとして披露した「トマホーク」。バイクのようなデザインではあるが、ホイールを前後にふたつずつ配しているので車体に跨って乗る“クルマ”と定義できるかもしれない。

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ミリヤードによる最高速チャレンジの様子(C)Allen Millyard(YouTube)

●自作でV10エンジンをバイクに搭載
 エンジンはダッジ「バイパーSRT10」の8.3リッターV10を搭載し、最高出力500psを叩き出す。理論上、最高速度は400km/h以上に達するという。もっとも、ダッジが試験走行したのは160km/hまでだといわれている。ちなみにギア数は2速となっていた。

 そんなトマホーク、アメリカの高級デパート「ニーマン・マーカス」によって55万ドルという価格で販売され、なんと9台が売れたというから驚きだ。なぜならトマホークは公道走行不可なのである。ダッジいわくトマホークは、クルマでもバイクでもなく「自動車彫刻」と呼ぶアートだったのだ。

 そんなトマホークにひと目惚れしたのが、イギリス在住のバイク・エンジニアのアレン・ミリヤードだ。ミリヤードは草刈り機、自転車、バイクなどを改造することで有名なエンジニアで、彼の作品を収めるバイク博物館もあるほど。トマホークを見て、ダッジ バイパーのエンジンを仕入れて自作することにした、という腕とバイタリティの持ち主でもある。

すべてが規格外のモンスターバイクのスペックとは
 そして、2009年にはダッジ「バイパーGTS」の8リッターエンジンを搭載したバイクを自作してしまったのだ。「ミリヤード・バイパーV10」と命名されたミリヤードの自作バイクはトマホークのような4輪ではなく、正真正銘の2輪車だった。エンジン単体で340kgもあり、バイク全体の重量はなんと630kg。ドイツのエッセン・モーターショーでお披露目され、国内外から注目を集めた。

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「ミリヤード・バイパーV10」にまたがるアレン・ミリヤード。エキゾーストマニホールドで足をやけどしないか、心配だ(C)Allen Millyard(YouTube)

●現在の最高速度は333キロ!
 最高速度250マイル(402km/h)を目指したいと述べていたミリヤードだが、今のところの記録は207マイル(333km/h)止まり。とはいえ、自作バイクで時速207マイルとは十分、見事な記録だろう。

 既存のバイクのフレームではバイパーの巨大なエンジンは収まらないので、ミリヤードはエンジン前後にふたつのサブフレームをボルトオンしている。つまり、エンジンは車体の一部を構成しているのだ。