徳島県教育委員会は来春に実施する高校入試から、「阿波おどり」の技能に秀でた生徒を優先的に受け入れる特別枠を導入する。地域の伝統文化の担い手を育成する狙いがあり、文部科学省によると、高校入試で郷土芸能による選抜を実施するのは珍しいという。

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2年ぶりに開催した阿波おどりで、優雅に舞う踊り手たち(2021年8月、徳島市で)

 阿波おどりに力を入れてきた生徒を受け入れるのは県立の徳島商業(徳島市)、城西(同)、鳴門(鳴門市)の3校で、定員は各3人。いずれも阿波おどり部があり、卒業生は地域の踊り手グループ「連」のメンバーとして活動を続けている。出願条件は中学3年間、連で活動したことなどとする予定。筆記試験も行うが、実技試験の結果を重視する。

 県教委は2011年度の高校入試から、中学時代の部活動やボランティアの実績を重視した特色選抜を開始。しかし、合格者は野球やサッカーといったスポーツ枠が9割近くに上り、来春の入試から募集分野を拡大した「育成型選抜」に変更し、文化系の枠を増やすことにした。各地の連は、コロナ禍で踊り手の確保に苦労しており、県教委は「阿波おどりの継承のため、後継の育成を図りたい」としている。

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