機関砲とミサイルに加えてレーザーまで装備
 ドイツに本社を置く兵器メーカーのラインメタルは、フランス・パリで開催中の防衛・安全保障見本市である「ユーロサトリ2022」において、新型の対空自走砲を展示しています。

 車台に用いられているのは、同社がKMW(クラウス・マッファイ・ヴェクマン)などと開発した8輪重装甲車「ボクサー」で、これに独自開発した「スカイレンジャー30 HEL」対空砲塔を搭載したものです。

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パリで開催中のユーロサトリ2022のラインメタル社ブースに展示された「ボクサー」装輪装甲車と「スカイレンジャー30 HEL」を組み合わせた装輪式対空自走砲(画像:ラインメタル)。

 「スカイレンジャー30 HEL」砲塔は、30mm機関砲に対空ミサイル、高出力レーザーを組み合わせた、いわゆるハイブリッド砲塔と呼ばれるもので、これにより固定翼機やヘリコプターだけでなく、飛来するミサイルやUAV(ドローン)などにも対処可能とのこと。

 それら経空脅威に対応するため、周辺空域を警戒するセンサーや照準装置も複合的なものを搭載しており、レーダーは砲塔外周、前後左右に装備する平面レーダーがポイント。これらにより、他のシステムに頼ることなく自立して警戒・対処にあたることができるようになっているといいます。

 これまでも「スカイレンジャー30」という対空システムはありましたが、今回の「スカイレンジャー30 HEL」が持つ最大の特徴は、「HEL」すなわち「High-Energy Laser(高出力レーザー)」を新たに搭載した点にあるのだそう。これを照射することでUAVやドローンのカメラ、ミサイルのシーカーなどを無力化し、脅威を排除するとしています。

 搭載する30mm機関砲は毎分1200発を発射することが可能で、このクラス(30mm口径)の機関砲としては世界最高性能を誇るとのこと。目標に近づくと自動的に炸裂する近接信管によって、目標がかなり小さくとも高確率で撃破できるそうです。

 ボクサー装輪装甲車に搭載されているため、機動性も高く、現代戦にマッチした自走式対空システムだとラインメタルは紹介しています。
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