6月22日に公示を迎える参議院選挙(7月10日投開票)が目前に迫り、各党の動きが慌ただしくなっている。なかでも注目を集めるのが、「混戦必至」と囁かれる東京選挙区だ。“夏の首都決戦”の趨勢を占うキーパーソンとして浮上した「3人の女性候補」の戦いの舞台裏を覗くと、三者三様の苦悩や焦り、秘策が垣間見えた。

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 改選定数6に対して、20人を超す候補者が名乗りを上げた東京選挙区。当選圏内に入ってくるメンツは絞られつつあるが、その順位や当落予想は簡単でないという。

 上位を窺う候補のなかで、期待に比して最も“苦戦”しているのが、自民党公認候補で元「おニャン子クラブ」メンバーの生稲晃子氏(54)だ。

「当初は目玉候補として“旋風を巻き起こす”と見られた生稲氏ですが、いまひとつ支持が広がっていません。元アイドルという経歴から都心の無党派層の掘り起こしを期待されましたが、特に浮動票率の高い若い世代にほとんど響いておらず、支持が伸び悩んだままです」(全国紙政治部デスク)

 実際、主要政党の情勢調査でも、4月中旬時点で8.9ポイントだった生稲氏の支持率は、6月に入っても10.9ポイントと微増にとどまっている。もうひとりの自民公認候補で現職の朝日健太郎氏(46)が6月初旬時点で同15.4ポイントというから、生稲氏の苦闘ぶりが伝わってくる。

蓮舫氏の長男の動向に注視
 一方、6年前の参院選で112万票を獲得し「トップ当選」を果たした、立憲民主党の蓮舫氏(54)も今回、思わぬ“逆風”に見舞われているという。

「党本部が蓮舫氏の選挙支援に熱心じゃない。もともと彼女は“選挙に強い”から、党としてもうひとりの新人候補の応援に注力している事情もありますが、もうひとつ、蓮舫さんと現執行部の関係が良くないのです。党内では彼女が“当選したら、私を幹事長にして欲しい”と要求して、西村智奈美・現幹事長とバチバチの険悪な関係になっているといった噂が広まっているくらいです」(立民関係者)

 党の支援がなくても勝てるところが蓮舫氏の強みだが、現状、支持率でトップに立つ自民・朝日氏の後塵を拝しているという。それどころか、「共産党のホープ」と呼ばれる山添拓氏や生稲氏からも追い上げを喰らっている状況で、党内からも「かつての勢いはない」と囁かれているそうだ。

「4月以降、支持率も右肩下がりと言われ、本人の焦りは大きい。実はいま、党として一番恐れているのが蓮舫氏の長男の動向です。今春、長男が元自民党国会議員で実業家の糸山英太郎氏と養子縁組をし、自民党に入党したことが報じられました。もし彼が朝日健太郎の応援演説に回って“母親批判”でもすれば、さらに票を失いかねないと戦々恐々です」(同)

主役は小池都知事
 打って変わって今後、得票を大きく伸ばすと見られているのが、「ファーストの会」の荒木千陽氏(40)である。同会は小池百合子都知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」を母体とし、荒木氏自身、小池氏の秘書を6年務め、一時同居もしていた“小池ファミリーの長女”だ。

「荒木氏の支持率は現在、当落ラインを下回るとも伝えられますが、小池氏が荒木氏支援の前面に出てくれば形勢は一気に変わります。小池氏との二連ポスターやのぼりを使って“二人三脚”をアピールしている荒木氏が負ければ、イコール“小池氏の敗北”と受け取られかねない。選挙戦が始まれば、小池氏が荒木氏の応援演説に立つ公算は高いと見られ、荒木氏の当落はひとえに小池氏の出方に懸かっています」(前出・デスク)

 小池氏が20年の都知事選で獲得した票数は約366万票。かつての神通力はないと言われるが、前回(19年)参院選東京選挙区の総投票数(590万票)を考えれば、“小池効果”で「1議席は射程圏内」との指摘も頷ける。

 ちなみに荒木氏の追い上げで割を食って落選の憂き目に遭いそうなのが、れいわ新選組の山本太郎代表(47)という。

「同じ当落ライン上で競り合う二人ですが、作家の乙武氏が無所属で出馬表明したことで、れいわ支持層の票を取り合う結果になると見られています。情勢は荒木氏に有利に動いている」(同)

 最後に笑うのは誰か。闘いの火蓋は間もなく切られる。

デイリー新潮編集部

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