2022年6月28日、韓国・中央日報は、日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた
韓国大法院(最高裁)の判決に基づく「日本企業の韓国内資産の現金化」手続きが最終段階に進む中、
日韓政府の間では「代位弁済」が代案として急浮上していると報じた。

複数の外交消息筋によると、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が4月に日本に派遣した
政策協議団は、日本政府関係者と面会した際に代位弁済について言及した。
日韓企業の拠出金でつくった基金を財源に元徴用工らに補償金を出し、
その代わりに現在進んでいる現金化の手続きを中止するという案だった。

この提案を日本側関係者は「問題を根本的に解決できる現実的なアイデア」と評価した。
「内容と方法によっては」という条件付きではあったが、「判決による賠償義務の履行ではなく、
自発的な寄付や拠出を通じて元徴用工に支援する方法なら、
日本企業も参加を検討できる」という趣旨の肯定的な反応を示したという。

韓国大法院は18年10月と11月、日本製鉄と三菱重工業にそれぞれ元徴用工らへの賠償を命じた。
しかし日本政府はこの判決が「1965年の日韓請求権協定に違反する」として判決自体を認めていない。
日本製鉄と三菱重工業は賠償を拒否している上、韓国内資産を差し押さえて現金化する法的手続きに強く反発している。

韓国の政策協議団は、代位弁済に対する日本側の「条件付き賛同」を「小さいが明らかな態度変化」とみている。
文在寅(ムン・ジェイン)前政権時には「韓国が先に解決策を提示すること」だけに固執していた日本がようやく
「現実的な代案に対する意思」を示したと解釈できるためという。

日本政府の態度変化には「時間的余裕のなさ」が影響を与えたとみられている。
三菱重工業の韓国内資産の現金化に対する韓国大法院の最終決定が目前(早ければ8月)に迫っているが、
日韓間の敏感な歴史問題は日本の参議院選挙(7月10日)後でなければ本格的な議論が難しく、残された外交の時間は実質1カ月ほどとなる。

韓国政府関係者は「(元徴用工)問題が急ぎの懸案となったのは現金化問題のためであり、
大法院の判決で勝訴した被害者らを説得しなければ現金化措置の中断はできない」とし、
「多方面から問題の解決を模索しているが、現金化が迫っているため、
現時点では代位弁済以外に現実的な解決策を見出すことは難しい状況だ」と話したという。

続く