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九州で展開するうどんチェーン「資さんうどん」の楽しみ方とは?(写真は、北九州名物のかしわうどんにワカメをトッピング)

 うどんは全国各地で様々な特色がある。たとえば関東の「うどんツユ」は色が濃く、関西の「うどんダシ」は薄く透き通っているのが特徴的。そうしたなかで全国展開に成功したのが、さぬきうどんチェーンだ。コシの強さと「釜あげ」「ぶっかけ」などの食べ方は、いまや当たり前のように受け入れられている印象だ。では、九州のうどんはどうだろうか? 佐賀県唐津市に住むネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、福岡発のうどんチェーン「資さんうどん」(すけさんうどん)の魅力について、レポートする。

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 資さんうどんは福岡県北九州発祥で、店舗は福岡に多数あり、山口、佐賀、熊本、大分、宮崎に数店舗ずつあります。まず、福岡のうどんの特徴は麺がやわく(柔らかく)、いりこダシやサバダシ、アゴダシ(トビウオ)でツユを作っている点にあります。トッピングで有名なのはごぼ天(ゴボウの天ぷら)、丸天(丸いさつま揚げ)、かしわ(鶏肉を醤油で甘辛く煮たもの)といったところでしょうか。

 私が同店を好きな理由は、呑兵衛だからというのがあるでしょう。何しろ、おでんの種類が豊富なのです。玉子・大根・白滝といった定番の他、厚揚げや牛筋などもあり、これをサッポロ黒ラベルの中瓶のお供にしながら、その後、何を食べるか考えるのが至福のひとときです。さらに、同店のメニューにはカツ丼や牛丼、カレーもあります。となればサイドメニューでカツや牛肉、唐揚げなども頼むことができます。

 とはいっても、中年の身ですから、そんなに食べられるわけもないので、おでんを頼みます。この日は4人でうかがったのですが、同行したベテランは卓上に設置されたとろろ昆布をおでんのツユに入れ、「コレがウマいんですよ!」とおでんと辛子と一緒に頬張っていました。

 途中、「余ったらうどんのトッピングにしてしまえばいいや!」とばかりに「肉」(醤油で甘辛く煮た牛丼の具風のもの)も追加。かくして4人でビールを6本飲んだ居酒屋タイムを過ごした後は、各々が好きなうどんを頼みます。

 私は「肉うどん」で、同行者は北九州発祥の「焼きうどん」、そして期間限定の「穴子天ぶっかけ」、「かしわうどん」にワカメをトッピングしたものを注文。

 肉うどんには、卓上のとろろ昆布、揚げ玉、一味唐辛子を入れて食べるのですが、一度九州の柔らかい麺に慣れると、これが案外好きになってしまいます。東京にいると「うどんはコシが命!」みたいになり、讃岐うどんファンからは固ければ固い方がいいという声もあるでしょうが、九州のうどんは完全に別種類のものと言っていいでしょう。

 ちなみに、東京で博多ラーメンを食べるときは、何かと「バリ固」を頼む人も多いですが、福岡や佐賀のラーメン店で、地元の人は、あまりバリ固を食べていない印象です。「普通」が多いです。ある店の店主も「観光客はバリ固頼む人が多いんですが、固過ぎないんですかね?」と言っていました。

九州のうどんがなかなか東京に進出できないワケ
 資さんうどんのツユは、ビールにも合うので、時々ビールを飲みながらツユも飲む、といった進め方をし、最終的にはツユまで飲み切ってしまいます。大食いの人はうどんと一緒に「かしわおにぎり(2個)」を食べ、さらにはデザートにぼた餅を食べます。ぼた餅は同店の名物で、持ち帰りをする人もいます。

 東京から来た人は「ウエスト」や「牧のうどん」(いずれも福岡発祥のうどんチェーン)に行くと「なんで九州のうどんチェーンって東京にあんまりないの? コレ、来たら流行るよ!」と言うのですが、うどんの嗜好というものはもう少し根深いものなのではないでしょうか。たとえば関東のうどんは関西でなかなか受け入れられにくい。あの濃いツユの色が関西の人には馴染めないのでしょう。