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 山田健太さん(仮名)、61歳。長年、自動車メーカーなどで整備士として働いてきたが、転職を目指している。山田さんの年収は450万円ほどで、転職時の希望は「それを下回らない程度」だと話す。

 山田さんには住宅ローンがある。さらに、2人の娘に仕送りもしているため、年金だけでは心もとないという。「いつまでも長く働きたい。健康であれば75歳までは働きたい」。

 “人生100年時代”の中で、私たちは何歳まで働くべきなのか。『ABEMA Prime』では、慶應義塾大学名誉教授でパソナグループ会長を務める竹中平蔵氏や、米・イェール大学助教授で半熟仮想代表の成田悠輔氏らとともに議論した。

■竹中平蔵氏「年金だけで生活できるわけがない」

 50代以上を専門に就職支援を行う会社・シニアジョブ。実は今、求職者の登録者、そして人を募集する企業の数、ともに増えているという。代表取締役の中島康恵氏は「生活の資金面で転職を考えたり、仕事をしたいと考えている方が一定数いること。年金だけで今後の生活が保っていけるかという不安から転職を考えるのが、スタートとしては大きいと思う」と説明する。


 そうした不安の声があることに対し、「年金だけで生活できるわけがない」と竹中氏。「年金はそんな制度ではないからだ。ある程度の助けになる金額しか出ないし、そんな制度ではないということを前提に若い頃から働かないといけない。逆にいうと、そのくらいのお金しか年金の掛け金として我々は払ってきていない。90歳まで生きようと思ったら、自分で90歳まで生きる分を貯めておかないといけない。でも、それまでに病気になるかもしれないし、90歳ではなくて100歳まで生きるかもしれない。そのための保険が年金で、あくまでも補うもの」と指摘する。

 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2020年の年金平均月額は、国民年金(基礎年金)が5万6358円、厚生年金保険第1号(民間の事業所に使用される者、厚生年金保険では最も多い)が14万6145円で、これらを合わせると20万2503円となる。また、国民年金受給者3596万人のうち、「基礎のみ」受給者は863万人で、その平均月額は5万2896円となっている。

 番組には「年金はあくまで保険なんだ。それだけで生活できると思った」とのコメントが寄せられたが、竹中氏は「年金がどういうものなのかという教育を、小学校からちゃんとやらないといけない」とし、「皆さん、自分が年金をどれぐらいもらえるかわかるだろうか? 年金は2カ月に1回支払われるということも知らないだろう。私ももらうまで全然知らなかった。だから、年金についてちゃんと教えておかないと。そして、どのくらいの期間自分は働いて、どのくらい貯めておくかという設計がないとやはり困る」と述べた。

■成田悠輔氏「竹中先生が積極的にスパッと引退されては」

 では、人生100年時代の今、何歳まで働くべきなのか。

 成田氏は「長く働くようになってきて1個大きな問題だと思っているのは、“ふつう引退するよね”という歳を超えると、安く働く人が多い傾向があるのでは? ということ。それによって現役の人たちの賃金水準も下げてしまっているような気がしている。長く働くのはいいけれど、安売りしないことは大事だと思う」との見方を示す。