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Image: Shutterstock
ずっと顔にウンコされてたのか…。

顔の毛根や皮脂腺など皮膚に住み着くニキビダニ。科学者によってその生態がわかってきました。まず、彼らにはこれまでは存在しないとされていたお尻の穴があることが判明! 良い方の発見としては、顔に住み着いていたとしても考えられていたほど危害がなく、逆にいい共存共栄効果もあることがわかったそうです。

ニキビダニは2種類いて、どちらもクモ綱に属しますが近い親類はクモよりもダニ。そして今回研究された(Demodex folliculorum)のニキビダニは一般的に顔に住み、生殖するダニです。2~3週間の寿命で毛穴や毛根に住み着きます。人間であれば誰しもがこのニキビダニを顔に「飼っている」わけですが、実はよくわかっていないことだらけのままでした。ジャーナル誌「Molecular Biology and Evolution」で発表された新しい研究ではヨーロッパの科学者チームがニキビダニのゲノム配列を完全に解読し、体内で何が起こっているのかという疑問への答えがわかってきたとのこと。

肌荒れの原因はニキビダニのせいじゃないかも?
これまでニキビダニは肛門がなく、理論上2、3週間しか生きられないため排泄物は体内にとどめられていて、死ぬ時だけに外に排出されるとされていました。たくさんのニキビダニが死ぬと死体からウンコが爆発し、皮膚に乗っかり、酒焼けなどの肌荒れが起こると多くの科学者に考えられていました。しかしこれに反論する科学者もいて、今回の新研究によりニキビダニにはしっかりと肛門があると発見されたというわけです。イギリスのレディング大学の研究者で研究論文の著者であるAlejandra Perotti氏は、肌荒れは色々な原因と連鎖反応によって起こっており、ニキビダニが直接的な原因ではないと述べています。

肌荒れが起こるのがニキビダニのウンコ爆発が原因ではないとなると、ニキビダニの直接的な悪影響の原因がわからないからですね。ニキビダニの存在が一つのきっかけとなってと酒焼けが起こる可能性はあるものの、その関係性を調べていく必要がありそうです。「ニキビダニのせいにしてしまえば、簡単で早いですものね」とPerotti氏は話しています。

人間の顔に住んだせいで怠け者に…
ほかにも今回の研究で判明したのは、ニキビダニは人間の顔を棲家にすることでものすごく怠け者に進化してしまったということ。他の種と比べてとてもシンプルなDNA構造をしているニキビダニは、最小の細胞と機能するのに必要な最低限のタンパク質だけで生きているのです。ちなみに足だって一つの筋肉細胞だけで全部の足を動かしているそう。紫外線の中で生き延びる能力も失っているため、光の届かない私たちの毛穴の奥深くに入り込んでじっとしています。夜になると動き出し生殖活動をするのですが、他の動物のように自分の力でメラトニンを出すことさえできないため、私たち人間から頂戴しているとのこと。なんたる依存性!人間の顔の上で外敵もいないため、進化していくことはなく、どんどん使わない能力を失って怠け者のダニになっていっているというわけです。

しかしバクテリアはこのように後退していくと、動物と違ってこのまま絶滅していってしまう可能性があるという研究者もいます。将来が危ういニキビダニですが、人間にとっていいこともあります。余った皮膚や脂質、細菌や真菌などを消化して肌をきれいに保ってくれるという役目もしてくれているので、このまま顔で飼い続けているほうが吉と出るんでしょうか。でもずっとウンコをされているんですよね…。なんかいやだな…。

https://www.gizmodo.jp/2022/07/demodex-folliculorum.html