ヘッドライトの黄ばみはなぜ起きる? 車検不適合の場合も

 クルマのヘッドライトは、暗い夜道やトンネル内で周囲を照らして視認性を向上させることはもちろん、
ほかのクルマや歩行者に自車の存在を伝えるという役割も担っている重要なパーツのひとつです。

 そんなヘッドライトは、新車で購入した際にはクリアな状態ですが、
時間が経過するとともに黄ばみや曇りが目立つようになるケースが多く見られます。
一体、なぜ黄ばみなどが目立つようになるのでしょうか。

かつてはガラス製が主流だったヘッドライトですが、現在では、ポリカーボネートという樹脂製の素材で作られているのが一般的です。

 ポリカーボネートはガラスに比べて、耐久性に優れており、万が一の事故でも周囲に破片が飛び散りにくいという特性もあります。

 その一方で、ポリカーボネートは表面が柔らかく、紫外線に弱い性質をもつため、
クルマのように長時間外に置かれていることで、細かい傷がついてしまうという弱点があります。

 湿気や色の変化によって曇っているように見えるヘッドライトの黄ばみですが、
実際には、表面の細かいキズによって全体が曇って見えるというわけです。

 ヘッドライトが黄ばんでいると、クルマ全体が劣化している印象になってしまううえ、
程度によっては車検に通らず、新品へ交換するなど、
なんらかの対策をとらなくてはいけない可能性もあります。

 道路運送車両の保安基準第32条では、ハイビームについて、
「夜間に自動車の前方にある交通上の障害物を確認できるものとして、
灯光の色、明るさ等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない」とされています。

 また、ロービームについても同様に、色や明るさの基準を満たすことを規定しており、ふたつの基準については、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の第42条において定められています。

 それぞれ、ハイビームは「夜間にその前方100mの距離にある交通上の障害物を確認できる性能」、ロービームは「夜間にその前方40mの距離にある交通上の障害物を確認できる性能」が求められます。

 よって、ヘッドライトの黄ばみによって、光度が落ち、
この基準を満たせないと判断された場合には、ヘッドライトの交換や黄ばみの除去といった対策をおこなわなくてはいけません。


続く