【北京=比嘉清太】中国政府は、福建省と台湾を結ぶ高速道路を2035年までに整備する計画を公表した。中台間で軍事的緊張が続く中、 習近平シージンピン 国家主席が強い意欲を示す将来の中台統一を見据え、台湾に心理的圧力をかける狙いとみられる。

 12日に公表された全国の道路網の整備計画リストに、北京市を起点に、福建省福州市を経由して台湾の最大都市・台北市に至る道路が盛り込まれた。福建省泉州市とアモイ市から台湾の離島・金門島に至る二つの道路の整備計画も含まれている。

 計画では、台湾海峡に海底トンネルを掘るのか、海上に橋を建設するのかについて言及はない。習近平政権は、昨年2月に公表した交通網の整備計画で、福州市―台北市間の高速鉄道・道路の整備構想を示しており、今回公表した計画で、金門島に至る道路整備を加えた。

 台湾は、計画に同意していない。計画が実現すれば安全保障上のリスクになるとの懸念が根強いためで、計画は、台湾の大多数の民意が拒否感を示す中台統一を前提としたものとの見方がある。台湾紙・聯合報(電子版)は14日、今回の計画公表について「また台湾側をからかっているのか」と不快感を示した。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20220718-OYT1T50105/