東京電力福島第1原子力発電所の放射性物質を含む処理水の海洋放出問題をめぐり、
韓国の趙承煥(チョ・スンファン)海洋水産相は国際海洋裁判所(ITLOS)への提訴を検討していることを明らかにした。
韓国内で反対論が強い海洋放出について、趙氏は「科学的で客観的な検証を引き続き強調している」とも説明した。

海洋放出に関しては原子力規制委員会が7月22日の臨時会議で、福島第1原発にたまる処理水の海洋放出計画を正式認可した。
計画の安全性に問題はないと結論付けた。東電は福島県と地元の大熊、双葉両町の事前了解を取り付けた上で関連設備の工事に本格着手し、

2023年春ごろの放出開始を目指す方針で、県と大熊、双葉両町も3日、放出に使われる海底トンネルなどの施設の建設を了解した。

東電の計画では処理水に含まれる放射性物質トリチウム濃度が国基準の40分の1未満となるよう海水で希釈し、
海底トンネルを通して沖合約1キロの地点から放出する。完了時期は数十年先と見込む。

聯合ニュースによると、趙海洋水産相は1日に開かれた国会の農林畜産食品海洋水産委員会で、

日本による海洋放出問題でITLOSに提訴する可能性に触れ、
「政府の合同タスクフォース(TF)が何回も検討しているものと承知している」と説明した。

ただ趙氏は「外交に関わる懸案であるため、進行状況については正確に知らされていない」として慎重な姿勢を示した。
また「(海洋放出の)安定性に関連してはIAEA(国際原子力機関)の点検団に国内の研究者が参加している」と言及した。

野党「共に民主党」に所属する国会議員が「環境団体や水産業界は政府が事実上、汚染水放出を容認しているとみなしている」と指摘し、
放出を防ぐことを政府方針にしないのはなぜかと質問したことに対し、
趙氏は「政府は基本的に汚染水が放出されないよう努力を続けている」と答弁。
「放出を容認するというより、汚染水放出に対して備えなければならないという考え」と述べた。

同委員会では韓国だけで海洋放出を防ぐことができないのであれば太平洋沿岸国と連携するよう求める声が上がるなど、
福島第1原発の汚染水の海洋放出問題に関する質疑が相次いだ。
趙氏は「多国間協議で問題提起を続け、国務調整室長主宰のTFも構成した」とも答えた。

ITLOSは海洋法に関する国際連合条約(海洋法条約)に基づき1996年に発足した常設的な国際裁判所。
ドイツ・ハンブルクにあり、 海洋法条約の解釈・適用から生ずる紛争を専門的に管轄している。(編集/日向)

https://www.recordchina.co.jp/b898939-s39-c100-d0059.html