9月初めに退任が決まっているボリス・ジョンソン英首相が、今月2回目の夏休みを取り、非難を浴びている。

ジョンソン首相は今月初めにも休暇を取った。生活費高騰などでイギリス経済に混乱が生じている中での休暇に、批判の声が上がった。

首相官邸の報道官は、ジョンソン氏は現在休暇中で、週末にロンドンに戻ると説明。「緊急の問題」については休暇中も報告を受けると付け加えた。

ジョンソン氏は7月に政治的圧力から辞任を発表。与党・保守党は党首選を進めており、9月6日に新たな首相が発表される予定だ。党首選では現在、全国の保守党員の郵便投票による、リズ・トラス外相とリシ・スーナク前財務相の決選投票が行われている。

15日には首相官邸の前に引っ越し会社のトラックが停まり、ジョンソン氏退陣の期日が迫っていることをうかがわせた。

ジョンソン氏については先週末、ギリシャで休暇を過ごしていると報じられた。首都アテネ東郊の町ネア・マクリでは、ジョンソン氏が妻のキャリーさんと買い物をする姿が目撃されていた。

休暇を数週間遅らせることはできなかったのかとの質問に報道官は、「私は休暇のタイミングの決定に関われる立場ではないが、首相は今週休暇を取っている。週末に戻ってくる」と述べた。

また、休暇の費用はジョンソン氏自らが出しており、休暇中も急を要する政府の業務については報告を受けると説明した。

「もし首相の意見が必要な緊急の決定があるなら、もちろん首相はそれに関わる。しかし、会議があれば(ドミニク・ラーブ)副首相が代理を務めることが可能だ。ただ、私の知る限り、そのような会議は予定されていない」

「政府はここ数週間、多くの素晴らしい発表をしてきたし、今後数日もそうし続ける」

「ずっとパーティーをしているようだ」と野党
これに対し最大野党・労働党は、ジョンソン首相は「ずっとパーティーをしているようだ」と批判した。

労働党の報道官は、「ここ数カ月の様子を見るに、首相は保守党が生み出した生活費危機対策で失敗し続けている。仕事をしていようと休暇を取っていようと違いはないようだ」と述べた。

「国中が光熱費や家賃の支払いに苦労している中、ボリス・ジョンソンはずっとパーティーをしているようだ」

労働党のサー・キア・スターマー党首もつい最近、スペイン・マヨルカ島での休暇から戻って来たばかり。サー・キアも、生活費危機の中で対策を取らなかったと批判を受けている。

BBCのラジオ番組に出演したサー・キアは、「私は労働党の党首、野党の党首として非常に重要な仕事をしているが、父親というもうひとつ本当に重要な仕事がある。妻や子供と休暇に出かけることを謝るつもりはない」と説明。これが約3年ぶりの休暇だったと述べた。

改修された官邸はどうなる?
ジョンソン氏は現在、家族と共に首相官邸の隣のダウニング街11番地に住んでいる。この建物は政府が所有している。

2020年にはこの建物の上階にある住居をリフォームしたが、この費用をジョンソン首相の保守党の同僚が支払った疑惑が浮上。首相が住居整備のために受け取る公費は年3万ポンド(約480万円)だが、このリフォームに実際にかかった費用は、最大20万ポンドに上るのではないかとの見方が出ている。

イギリスの政治資金を監督している「選挙委員会」は2021年4月にこの疑惑についての調査を開始。その後、首相がこの同僚に11万2000ポンドを返金したことを明らかにした。

首相の報道官は、ジョンソン氏は個人的に購入した家具などは引っ越しの際に運び出すことができるが、税金で買ったものは11番地に残すとしている。

(英語記事 No 10 defends PM's holiday as removal vans arrive)

https://www.bbc.com/japanese/62557915