政府自民党との関係が連日報じられる世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)。教祖・文鮮明(ムンソンミョン)氏の後継となった妻、韓鶴子(ハンハクチャ)総裁の“言葉”から旧統一教会の日本人観を読み解く。そして、今も続く合同結婚式の実態に迫った。

■「中曽根なんか吹けば吹っ飛ぶよ」
2012年、文鮮明教祖が没し、旧統一教会は後継者争いに揺れた。その中で台頭したのが妻、韓鶴子氏だ。最大の問題は亡き夫のカリスマ性をいかに引き継ぐかであった。

北海道大学大学院教授 櫻井義秀 教授
「彼女は自分が神の一人娘“独生女(どくしょうおんな)”であることを自称するようになる。そうしてカリスマ化を進めている最中なんです。実際カリスマ性かあるかというと、あるように幹部はふるまうし、無いとは絶対言えませんし、こうして続けているうちにみんな信じ込むんです」

カリスマ化を進める中で、韓鶴子氏は日本の教団幹部の前でこうスピーチした。

韓鶴子総裁
「日本が責任を果たせるようにその最高責任者からひっくり返さないといけない。(中略)日本の『世界日報』も政治会、学界、知識人たちが一番最初に見る新聞として作り上げねばならない」


強い言葉だが、旧統一教会を40年以上取材してきた有田芳生氏は、亡き夫の受け売りだという。

ジャーナリスト 有田芳生氏
「韓鶴子さんは、昔文鮮明さんが言ってたことを言ってるんです。80年代、文鮮明教祖は、『中曽根なんて吹けば吹っ飛ぶよ』というようなことをしょっちゅう言ってた。韓国がアダム国家、日本はそれに従うエバ国家だから政治も抑えなければならない。そのためなら中曽根なんか吹っ飛ばす…これと同じ流れで最高責任者である政治家、総理をも動かせる関係にならなければいけませんよって言ってるんです。」

この番組でも何度も伝えてきた旧統一教会の基本的教義・・・、エバ国家である日本は、アダム国家である韓国に尽くし続けなければいけないという教えに基づき、教団は日本の政治家と結びつきを持とうとしている。
一方で日本の政治家の多くは、教団の教義を詳しく理解せずに“選挙に役立つ”集団くらいにしか捉えていない。そして、信者獲得のための教団の広告塔として利用されている。

■「洗練された因縁トーク」
政治家をも利用して信者を増やした教団の目的は、“献金”の名の下の金集めだ。
その集金は、かなり前からしっかりとシステム化されている。

ジャーナリスト 有田芳生氏
「1975年に文鮮明教祖が、日本の統一教会に送金命令を出した。それまでは“インチキ難民カンパ”とか、“珍味売り”とか“ハンカチ3枚千円”とか、いろんな処で物販をやっていた。だけど送金命令が出てからは1か月で20億円、1年間で2000億円韓国に送金した実績があって、どんどんエスカレートした。そこで70年代後半にかけて霊感商法がやれるようになるんです。そのための洗練された因縁トークがあるんです。これは凄いですよ。苦労したり、不安になったり、家庭の不幸があると統一教会では、『あなたの7代前の先祖が、例えば殺生因縁があった、色情因縁があった、それが今のあなたの不幸につながっている』という教え込みをする。洗練されたトークで人間の不安に付けこんで印鑑や壺や念珠、高麗人参エキスなどを不当に高額で売る。例えば原価3、4万円のやつを140万円とか…。そのためのトークが出来上がっているんですよ」

霊感商法や高額献金は、韓国内ではほどんど行われておらず、旧統一教会の収入のほとんどが日本人信者からのものであることは番組でも伝えてきた。日本人ばかりを“餌食”にする旧統一教会。その象徴的儀式がある。