■「幸せになれると思っていたら自分の部屋は牛小屋の一部」
合同結婚式は、文鮮明教祖が決めた男女が合同で結婚式を挙げる教団行事で、旧統一教会では“祝福”と呼び、信者にとって最高の栄誉と言われる。だが実態はだいぶ違うようだ。番組では、かつて農村に張り出されていたチラシを入手した。それは結婚相談に関するチラシで“日本女性との真の結婚”などの文言が並ぶが、統一教会の文字はない。信仰とは関係なく嫁不足に悩む地域で合同結婚式の参加男性を募っていた。即ち、合同結婚式の主な目的は、日本の女性信者を韓国に嫁がせることだった。

文鮮明教祖のお言葉集の韓国語版には、こんな一節がある…。

文鮮明教祖
「日本人と韓国人は敵ですよね。敵同士で結婚するんです。(中略)大学を出た日本人女性が、中卒や高卒の韓国人と沢山結婚しましたが、私は不平を言う人を一人も見たことがありません。韓国人同士で結婚させたら学歴がどうだのなんだって…。」

さらに、韓国人と日本人を結婚させると何が便利か、それは言葉が通じないことだと、などと続く。旧統一教会のおおもとに日本の植民地支配への恨みがあり、そのことは、“日本人と韓国人は敵”の文言からもよくわかる。こんな理念のもとに韓国へ嫁いだ日本女性には、果たしてどんな暮らしが待っているのだろうか?
 番組では今、韓国在住で合同結婚式で結婚した現役信者に話を聞くことができた。日本にいる時のように献金の強要はなくなったという。韓国人と嫁ぐことが免罪符のようになっていると言うが、中には借金があったり、働いていないような「あれ?」と思うような人と結婚させられた人もいるという。しかし、それも“日本は償わねばならない” という教団の教えによって心の中で封じ込めされているようマインドコントロールされているようだ。

有田氏は独自に何人もの日本人妻を取材している。

ジャーナリスト 有田芳生氏
「教祖が活動した場所だと夢を持って韓国にわたった。これで幸せになれると思っていたら自分の部屋は牛小屋の一部を改造したところに住まわされた・・・」

他にも、日本から両親が訪ねると戦時中の話などを持ち出し厳しい対応をされ、そのことで家同士が疎遠になったり、相手は嫁不足の農村から結婚したいだけで来たわけなので、まじめで信仰心のある日本女性からすれば矛盾を感じながら生活している人もいる。

合同結婚式によって韓国に嫁いだ日本女性向けに、月に1度発行される冊子がある。そこにこんな記事があった。

▼「日本から持ってきたお金でやりくりをしたが1年でお金が無くなり、朝4時半に起きて『世界日報』を配達している」(1992年結婚)
▼「夫はすぐに怒り、御父母様(教祖夫妻)の写真も壊す。先妻は夫の暴力を苦に自殺した」(1995年結婚)
▼「夫は仕事をせず酒や賭博で遅くまで帰らない。兄弟を日本人に殺された姑からは日本人への恨みからか、いじめられた」(1995年結婚)
 
自民党の萩生田政調会長は旧統一教会について「昭和の霊感商法は知っていたが、いまはそんな話を聞かないし・・・」と弁解していたが、“日本への恨みを晴らす教義”を根本に持った旧統一教会の元、いまも数千人の日本人女性が合同結婚式を経て韓国で暮らしていることをどう思うのだろうか…。

(BS-TBS 『報道1930』 8月25日放送より)

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/136524?display=1