韓国野党・共に民主党は李在明(イ・ジェミョン)代表が検察の出頭要請に応じないことについて、「政治弾圧のせいだ」と主張しているが、過去に自由韓国党(与党国民の力の前身)の議員が捜査機関に出頭しなかった際には「法の上に君臨するのか」と批判していた。

 民主党は2019年、国会のファストトラック(迅速処理案件)を巡る衝突事件に関連し、自由韓国党の議員らが検察の出頭要請に応じなかったことを受け、「韓国党は法の上に君臨し、自由民主主義を蹂躙(じゅうりん)している」と厳しく批判した。当時検察は国会法違反などの疑いで告訴・告発された韓国党議員に出頭を要請したが、羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)院内代表を除く議員は指導部の欠席方針で検察に出頭しなかった。

 当時、民主党の李仁栄(イ・インヨン)院内代表は「検察の出頭要請に応じないのは、明らかな公権力無力化行為だ」とし「自由韓国党は普通の市民と同様に迅速に検察の取り調べに応じてもらいたい」と発言した。その上で、「平凡な国民に200日以上捜査を拒否できる人は一人もいない。国会議員や政党が法の上に君臨できるという発想は民主主義と何の縁もない」とも述べた。民主党は2017年、国家情報院の特殊活動費を受け取った疑惑で捜査対象となった自由韓国党の崔ギョン煥(チェ・ギョンファン)議員(当時)が検察への出頭要請を拒むと、「韓国党は崔ギョン煥を守ることに血眼になり、防弾国会に臨もうとしている」と強く批判した。

 民主党のこうした姿勢について、与党からは「相手の党が出頭しなければ民主主義の蹂躙であり、自分たちが出頭しないのは政治報復のためだと主張するのは典型的なダブルスタンダードだ」とする声が漏れた。国民の力の成一鍾(ソン・イルジョン)政策委員会議長は前日、ラジオ番組で「李代表は『積弊と不義を清算することが政治報復ならば、そのような政治報復はあってもよい』と話していた。本人がいつも話していたことに対する反芻(はんすう)ではないか」と話した。李在明(イ・ジェミョン)代表は2017年の城南市長在任中、そうした発言を行っていた。

 一方、法曹界からは出頭拒否も一つの法律戦略だという分析が聞かれる。法的に出頭義務があるわけではないので、自己防衛のために出頭要請に応じないことができるとの指摘だ。検事出身の弁護士は「欠席に法律上の問題があるわけではないので、それだけで批判は難しい」とし、「書面による取り調べをはじめ、参考人の陳述や証拠資料などで捜査と起訴が可能だ」と話した。ただ、「(検察への出頭拒否が)裁判で不利に働く可能性はある」との認識を示した。

周希妍(チュ・ヒヨン)記者、兪鍾軒(ユ・ジョンホン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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