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商品券を求め、市民が殺到した市役所=10日午前11時40分ごろ、多賀城市中央2丁目

 宮城県多賀城市が経済対策で発行した市民限定の10割増し商品券の追加販売が10日、市役所で先着順に行われ、購入希望の市民が殺到して混乱した。長蛇の列は最大1キロ近くになり、周辺では交通渋滞が発生し、救急搬送される人も出た。対応する市職員らの数が少なく、誘導や案内などが不十分で混乱に拍車をかけた。並んだ市民は「市の見立ては甘過ぎる」と怒っている。

■開始30分前で既に1500人 救急搬送される人も

 商品券は1セット1万円分を5000円で購入できる。7、8月に1世帯1セット限定で販売。残った1万2608セットを1人2セットまでとして追加販売した。市役所1階に窓口5カ所を設置し、事業を委託する多賀城・七ケ浜商工会と市の職員が対応した。
 市によると、販売開始は午前9時半を予定したが、午前9時には既に1500人以上が並び、30分繰り上げた。購入希望者に対して窓口が少なく、整理券の配布も遅れて販売はスムーズに進まず、市役所周辺は一時、2000人を超える市民であふれかえった。
 無職小松淳さん(67)は午前9時に来庁し、商品券を手にしたのは午後0時半ごろ。「炎天下で長時間待たされるのはつらかった」と嘆いた。塩釜地区消防事務組合によると、並んでいたとみられる30代と40代の女性2人が、熱中症のような症状で救急搬送された。

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商品券を求める長蛇の列ができた多賀城市役所周辺。日傘で暑さをしのぎ、ひたすら待ち続けた市民も=10日午前11時40分ごろ

■誘導と案内不十分 市は謝罪

 混乱を大きくしたのが不十分な誘導と案内だった。当初は市職員らが窓口対応を含め約30人しかおらず、少な過ぎた。行列を管理できず途中で列が切れ、続きの列が複数生まれて最後尾があちこちにできた。
 並び間違えて順番が入れ替わり、トラブルも発生した。公務員鹿間雄次さん(38)は「職員の数が足りな過ぎた。『横入りした』という言い争いが、何回も起きていた」と指摘した。
 周辺は市役所へ向かう車で混雑し、渋滞は1.5キロ以上に及んだ。車で来庁した主婦佐藤澄子さん(69)は「普段は家から15分なのに2時間もかかった。せっかく来たが、大行列なので諦めて帰る」と落胆した。
 市都市産業部の萱場賢一部長は取材に「われわれの見通しが甘く、行列をコントロールできていなかった。市民に迷惑をかけて申し訳ない」と陳謝した。
 10日は七ケ浜町でも同じ商品券の追加販売があり、同様に行列や渋滞が発生し、町はホームページで謝罪した。商品券は完売し、両市町が予定した11日の追加販売は中止となった。

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