https://newsdig.ismcdn.jp/mwimgs/d/5/860w/img_d556543373070eb946bece9d0f50baf0786084.jpg

コンビニで、なぜか警察官が300円をおごってくれるという謎の取り組みを、島根県警大田警察署が始めました。
実はこれ、特殊詐欺対策ということで、すでに被害防止の成果も出ています。

島根県大田市内のコンビニエンスストア。
記者が電子マネーを購入しようとレジに行くと、摩訶不思議な出来事が。

三宅純人 記者
「3万円でお願いします」
コンビニ店員
「申し訳ございませんお客様、今、大田警察署から電子マネー3万円以上販売する際の通報を強く要請されていまして…」

なんと、電子マネー3万円以上を購入しようとすると、警察に通報されるというのです。
さらに、信じられない出来事が…

コンビニ店員
「10分程度で警察が到着します。お待ち頂く間に300円分のお買い物ができます。お代は警察官が払います」

なぜか警察官が来るまでの間、買い物をして待ち、警察官が代金300円までを支払ってくれるというのです。

記者があれこれと商品を選び、レジに向かうと、警察官が駆け付けてきました。

警察官
「何のためにグーグルのカードを買いに来られました?」

警察官は、高額な電子マネーを購入する理由を調べます。
そして、特殊詐欺とは関係がないと判断すると、先ほど選んだ商品の会計のうち300円を警察官が支払います。

実はこれ、大田警察署が始めた特殊詐欺防止の取り組みなんです。

2022年、島根県内では、ある特殊詐欺が猛威を振るっています。
それが架空料金請求詐欺。うその支払い義務を口実にコンビニなどで電子マネーを購入させ、そのカード番号を聞き出すことで金をだまし取る特殊詐欺です。
今年、8月末までの島根県内の特殊詐欺被害額約4582万円のうち、8割の約3682万円を架空料金請求詐欺が占めています。

そこで大田警察署は7月から市内のコンビニ全10店と協力し、3万円以上の電子マネーを購入しようとした客がいた場合、必ず通報してもらい、詐欺の疑いがないか聞き取る取り組みを始めました。

そして、警察が到着するまでの間、きちんと待ってもらうため、いわば「警察のおごり」で300円分の買い物をしてもらうユニークなアイデアを採用しました。
全国で初めての取り組みということです。

ところでなぜ、「300円」なのでしょうか?仕掛け人に尋ねると…

「300円」のヒントは「遠足のおやつ代」
大田警察署 生活安全課 藤原正史 課長
「遠足の300円をヒントにさせてもらって設定しました。
何を買うのか非常に迷う金額を設定することで、警察官が臨場するまでの間、お客さんに商品を選んでいただいて、警察官が登場するまでの時間を稼ぐという意味で300円を設定しています」

皆が迷う「遠足のおやつ」を選ぶ感覚で、時間稼ぎができると考えました。
もちろん、バナナを買ってもOKです。

このユニークな取り組みで、すでに成果も出ています。

大田警察署 生活安全課 藤原正史 課長
「今のところ大田市内2件の通報があって、そのうちの1件は特殊詐欺でしたので被害防止に成功しています」

ちなみに警察官が支払う300円はポケットマネー、ではなく、市の防犯協力会の予算から出されているということです。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/bss/166744