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イラン製の無人偵察機「シャヘド123」(黒瀬悦成撮影)

【カイロ=佐藤貴生】ウクライナに侵攻したロシアが実戦に投入したとみられるイランの攻撃型無人機「シャへド」を本格的に活用し始め、ウクライナが対策に全力を挙げている。ロシアは最新の電子技術を担う製造業に乏しく、欧米の制裁もあって無人機開発が遅れていたとされる。露軍はウクライナ各地の攻撃に無人機使用を拡大しているもようだ。

ウクライナのニュースメディアによると、同国空軍幹部は11日、露軍がこの2日間に発進させたイランの無人機シャへド11機のうち9機を撃墜したと述べた。ウクライナ南部のオデッサやミコライウなどに飛来したもようで、隣国ポーランドが供与した防空システムが効果を発揮したという。

露軍は5日にはウクライナの首都キーウの南約75キロの町をシャへドで攻撃し、空軍報道官は「新たな脅威だ」と述べていた。ロシアは隣国ベラルーシにも同機を配備、ウクライナを攻撃しているとの情報もある。

ロシアが使っているイラン製無人機はミサイル搭載可能な自爆型の「シャへド136」とみられ、ウクライナ国防省は9月中旬以降、東部ハリコフなどで使われてきたとしている。

米政府はこれに先立つ9月8日、ロシアに無人機を供与したとしてイランの航空関連企業や個人を制裁対象に指定。同23日にはウクライナのゼレンスキー大統領が「悪の協調」だとイランを批判、外交関係を格下げした。イランは無人機の対露供与を否定している。

米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、小型で低空を飛行するイランの無人機は防空システムによる発見が難しい。航空機と違い音も小さく、周辺住民が油断するケースがあったという。

ロシアの侵攻を受け、ウクライナはトルコが供与した無人機「バイラクタル」を露軍への攻撃に使用して効果を挙げた。無人機は2020年に起きた旧ソ連アゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突でも大きな戦果を挙げて注目された。

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