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写真はイメージです Photo:PIXTA

訓練後の自衛官の足が
ツイッターで話題に
 今年9月、一人の自衛官が訓練後に投稿した「雨に連日打たれながら演習を終えた塹壕足 ストーブに当てたら二時間で治ります」という写真付きのツイッターが話題となった。

https://twitter.com/2gmdKe1lPM74dy7/status/1566306858226585600?s=20&t=-HJ63nsdv41-In6HTyIamg

 白くふやけて膨れ上がり、土踏まずは対照的に赤く腫れているように見える足裏写真は多くの人に衝撃を与え、数万人が「いいね」ボタンを押していた。まず、過酷な訓練についてお疲れさまでしたと言いたい。心配する方もいると思うので念のために言うと、投稿者の足はストーブに当てて短時間で治ったそうだ。

 塹壕(ざんごう)足とは、湿った冷たい靴下やブーツなどを長時間履いていることで起きる寒冷障害で、憂慮しなければならない足の疾患だ。

 第一次世界大戦時の冬の塹壕戦で、多くの兵士がこの塹壕足で亡くなった。塹壕足を患った兵士がベッドで並んで足を上げて乾かしている写真が米軍に残っている。塹壕足にならないように軍人は、二人ペアになり互いにチェック義務を持たせたほどだ。水に足を浸したまま作業を続けると塹壕足から、凍傷、低体温症などに陥り、死に至る場合もある。

 塹壕足とは長時間、冷水浸漬(しんせき)をうけると起きる「塹壕足炎」という凍傷に似た足の疾患だ。塹壕足は16度ほどの温度でも13時間程度で発生する。症状としては、水ぶくれ、発赤、皮膚組織が死んではがれる潰瘍化などがある。この塹壕足をさらに放置すると、重大な健康被害を起こす危険がある。

 冒頭のツイッター投稿のコメント欄には、同様の症状を経験した人たちが、靴を脱いだ時に納豆のような匂いがして大変だったなどと証言していた。塹壕足は細菌の繁殖、細胞組織が破壊されるときに腐敗臭を出すようだ。最初はかゆみを感じるが、次第にしびれに変わり始める。筋肉や組織が浸軟すると痛みを伴い、真菌の感染症も同時に引き起こすことがある。さらに症状が進行して重症化すると、毛細血管が劣化し破壊されて、周りの筋肉組織の損傷や壊疽(えそ)を起こし、足を切断しなければならない状態にもなる。

防水浸透性素材の靴でも
塹壕足になる理由
 自衛隊には、機能や目的に合わせた靴がいくつかある。冒頭の自衛官が履いていた靴は「半長靴」で、半長靴3型か戦闘靴2型かと思われる。どちらの靴も防水浸透性素材のゴアテックスが内張りに使われている。この素材は雨を通さないが、水蒸気は通すという仕組みだ。一般の靴よりはかなり高機能だが、それでも塹壕足になってしまうのは驚きだ。

 防水浸透性素材を使った高機能な靴でも塹壕足になる理由の一つは靴の履き方にある。自衛隊は屋外の訓練時、裾をひっかけて転倒するリスクを避けるために、靴の中に迷彩服ズボンのすそを入れる。そのため、衣服をつたって雨水や汗が靴の中に入り込んでしまう。

 靴の中がちゃぷちゃぷと鳴るくらいまで水がたまると聞く。訓練中は他の人との歩調を合わせるため、靴の水を捨て靴下を替えることが難しく、我慢するしかない。

 他に靴が無いなら仕方ないと思われるかもしれないが、自衛隊にはさらに高機能の靴がある。島嶼(とうしょ)奪還作戦の要となる水陸機動団などの部隊に支給される「戦闘靴 水陸装甲用」だ。
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