いまネットで「オタクの血」なるワードが物議を醸している。

東京・秋葉原やコミックマーケット会場周辺で行われている献血に関する意見が発端となっているが、実際に同地で献血を続けてきた男性は、この問題について意外な反応を見せる。

■「オタクの献血者は…」
物議を醸したのはとあるユーザーが15日につぶやいたツイート。「オタクの献血者は、女性の体内に自分の体液をいれることが目的であって、献血に協力することが目的じゃない」とだいぶ激しめな自論を展開し、投稿は賛否呼びつつ拡散された。

Twitter上では過去にも「献血を募る場所は選んで欲しい」「オタクの血=毒を輸血されてる」「アニメコラボやコミケ献血は辞めた方がいい」などの投稿が別ユーザーからされており、ネットでは「オタクの血」というワードが再び注目されている。

■コロナで逆風の献血事情
新型コロナウイルス流行後、日本国内では全国的に献血協力者が減少している。

昨年8月、日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センターは、「7月11日(日)から献血協力者数が必要人数に満たない日が続いています。7月12日から8月8日までの計4週間で、必要人数に達した日は2日間のみ」と危機的状況を発信しており、同じく九州ブロック血液センターは今年9月、「九州・沖縄の献血にダブルパンチ コロナ感染と台風11号で献血減少止まらず」と緊急リリースを発信し、献血を呼びかけている状況があり、献血協力は大きな意義がある。

■オタク男性の反論
血液は長期保存ができない。そのため日本赤十字社は、人気アニメなどとのコラボを通じ随時献血のPR活動を続けている。

年末とお盆の年2回開催される大型同人誌即売会イベント「コミックマーケット」では会場近くに毎回献血バスが出現しており、コミックファンたちが「医療に役立てて欲しい」と奉仕の気持ちで行列を成すのは一つの風物詩だ。そんなコミケ会場や、秋葉原の献血ルームに通算56回以上通っている秋葉原在住の40代オタク男性に話を聞いた。

「今回のツイートを見て、とらえ方が酷いなとは思いました。ただ何を言われようが、オタクの血が必要な人に行き渡るのであれば私自身は生きている意味を実感します」と男性は明かす。


■「チスイコウモリ」の教え
「あるチスイコウモリは怪我や病気で餌が取りにいけない仲間に餌を分け与えるそうです、それは利他主義では無く自分が困った時も同じように看病してもらえる事を知っているのでそうしているそうです。誰かの為はいずれ自分のためになる究極の利己主義でもあるのです」と続けるオタク男性。

「献血が困っている人のために役立っているかなとほんのり考えたり、献血の世話をしてくれる看護師さんとの世間話と笑顔がご褒美ですね。もちろん献血後にいただける記念品も楽しみ」とも吐露し記者に写真を見せてくれるのだった。

そして「献血前は体を冷やさないようにあったかいココア、終わったら栄養がありそう(成分献血と同じ色)なリアルゴールドを飲みます。あとはコーラがぶ飲みします。ワインがキリストの血のようにコーラが私の血なのです。まさに汝、隣人を愛せよ」と締めた。ぶっ飛んでる…。

言い換えるならば献血を続けてきた当事者たちは一笑に付すレベルの騒動だということだ。そこには周囲に何をいわれようと自らの趣味道を邁進し続けてきたオタクの強さがあるように感じた。世の中で役立てるため献血する人と、その血を汚いと罵倒する人。ネットには様々な人がいるが、どちらが正しい行動かは火を見るよりも明らかだ。

(取材・文/Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤)

https://sirabee.com/2022/10/26/20162963685/