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新技術で皮をむいた梨(尾崎教授提供)

近畿大学の尾崎嘉彦教授らの研究グループは、果実や野菜の皮を簡単にむく技術を開発した。酵母由来の酵素などを含む2種類の液体に順に浸すだけで、表面を手やブラシで軽くこすれば、つるりと皮がむける。ブドウや桃、根菜類など幅広い品目に使えるのが特徴で、農作物を加工販売する際に負担となる皮むき作業の省力化が期待される。3年以内の実用化を目指す。

同大学が、JA全農長野の研究機関「長野県農村工業研究所」と共同開発した。現在、特許取得に向けて手続きを進めている。

これまで「ペクチナーゼ」と呼ばれる酵素で、果実の皮が剥がれやすくなることは知られていた。ただ、果実の皮の表面には、「クチクラ層」と呼ばれる水をはじく層があり、酵素液を染み込ませにくいという課題があった。

新技術では、酵素液に漬ける前に、食品添加物の一つ、乳化剤を含む液体に果実を浸す。クチクラ層が取り除かれるなどして、酵素液が染み込みやすくなるという。

新技術を使えるのは果実ではブドウや桃、梨、西洋梨、梅など、野菜では根菜類や芋類などだ。ブドウと梨の場合、乳化剤を含む液体に低温で24時間、酵素液に常温で2時間浸す必要がある。

機械が不要で初期投資を抑えられる他、刃物や薬品を使わず安全性も高い。

尾崎教授は「(新技術は)導入コストが極めて低く、小規模産地でも取り組める。(新技術が)果実の消費拡大につながってほしい」と期待を寄せる。

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