ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は13日、ビデオ演説を行い、ロシアが一方的に併合した南部ヘルソン州について、「安定と秩序を取り戻す」と述べた。ロシア軍部隊が撤退した同州ドニプロ川西岸を事実上掌握したとし、行政機能などの正常化を進める構えだ。

 ゼレンスキー氏は、ドニプロ川西岸で民間人を含む遺体が発見されていることを説明し、露軍による戦争犯罪が既に400件以上報告されていると訴えた。

https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/11/20221114-OYT1I50022-1.jpg?type=large
13日、ウクライナ南部ヘルソン州で、ロシア軍部隊の撤退を祝う地元住民ら(ロイター)

 ウクライナ軍の南部方面部隊は13日、ドニプロ川西岸と、隣接するミコライウ州で、山梨県に相当する計4500平方キロ・メートルを1週間で露軍から奪還したと発表した。ヘルソン州知事は12日、同州や州都ヘルソンで行政機関や警察が業務を再開したと明らかにした。ゼレンスキー氏によると、州都ヘルソンで地雷撤去が進んでいるという。

 ドニプロ川西岸では、露軍が撤退時に破壊したインフラ(社会基盤)の復旧も急ピッチで進められている。ウクライナ国営通信によると、13日には一部でガス供給が復旧し、州都ヘルソンで携帯電話の通信が回復した。電力や水の供給再開に向けた作業も本格化する見通しだ。

 ウクライナ側は、ドニプロ川東岸に撤退した露軍から西岸に向けて砲撃があることを想定し、警戒態勢を維持している。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20221114-OYT1T50021/